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人手不足時代の労働力確保と企業の対応策

日本では深刻な労働力不足が続いており、企業の人材確保が年々難しくなっています。総務省の統計によると、2024年の潜在的な労働力人口は過去最低の31万人となり、新型コロナウイルス禍で一時的に増加した52万人から大幅に減少しました。人手不足の影響で企業倒産が増加し、賃上げの動きも活発になっています。

採用コンサルタント:大岩

「女性」「シニア」「外国人」は人手不足解消の3種の神器です。しかし、最近では潜在的な労働人口も少なくなってきたため、それも通用しなくなってきています。これから本格的な人手不足時代がやってくるでしょう。

本記事では、労働力人口の定義とその現状を整理し、企業がどのように人材確保へ対応しているのかを詳しく解説します。

労働力人口とは?

労働力人口とは何かを理解するために、まずはその定義を確認してみましょう。

労働力人口の定義

労働力人口とは、「15歳以上の人口のうち、働く意思と能力のある人」を指します。具体的には、就業者(現在働いている人)完全失業者(仕事を探しているが職に就いていない人)を含みます。

労働力人口に含まれない「非労働力人口」とは、仕事をしておらず、求職活動もしていない人(専業主婦、学生、高齢者など)を指します。

労働力人口の推移

日本の労働力人口は、少子高齢化の影響で減少傾向にあります。総務省のデータによると、2023年の労働力人口は約6,900万人でしたが、2050年には6,000万人を下回ると予測されています。

労働力人口の現状とデータ分析

近年、働き手の不足が深刻な課題となっていますが、国は労働力人口をどのように把握しているのでしょうか?現状のデータを基に、将来の動向を予測してみましょう。

総務省の統計から見る潜在労働力人口

労働市場には、”働けるが求職活動をしていない人”も存在します。総務省の労働力調査では、次の2つのカテゴリーで潜在的な労働力人口を算出しています。

  • 拡張求職者:1カ月以内に求職活動を行い、2週間以内に就業可能な人。
  • 就業可能非求職者:すぐに働けるが、1カ月以内に求職活動をしていない人。

2024年7〜12月期の潜在労働力人口は31万人で、統計を開始した2018年以来の最少値となりました。特に女性や高齢者の就労が進んだことが、この減少の要因とされています。

企業の雇用状況と人手不足の深刻化

2024年12月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、雇用人員判断指数は全産業でマイナス36、非製造業ではマイナス46となりました。これは、新型コロナウイルス禍前よりも人手不足感が高まっていることを示しています。

さらに、東京商工リサーチの調査によると、2024年の「人手不足」関連倒産は289件に達し、2013年以降で最多となりました。特に**求人難(114件)人件費高騰(104件)**が主な要因となっています。

企業の人材確保に向けた取り組み

潜在的な労働力人口の伸びが限界に達する中、企業はどのような対策を講じているのでしょうか?

隙間バイト(スポットワーク)の活用

短時間の労働を提供する「スポットワーク(隙間バイト)」が注目を集めています。スポットワーク協会によると、2024年10月時点でスポットワークアプリの登録者数は2,800万人に達しており、企業側の活用が進んでいます。

業務の分解と未経験者・シニアの活用

一部の業務を切り分けることで、未経験者や高齢者が就業しやすい環境を作る企業も増えています。例えば、リクルート傘下のスタッフサービス・ホールディングスは、医療・介護分野の業務を「資格が不要な業務」と「資格が必要な業務」に分類。結果として、約7割の業務は未経験者でも対応可能であることが判明しました。

50代の派遣就業者は2019年末と比べて2倍、60歳以上では4.5倍に増加しており、シニア層の活用が加速しています。

労働力不足がもたらす影響

このまま労働力不足が続いた場合、社会にはどのような影響が及ぶのでしょうか。将来の変化について考察します。

賃上げの加速

人手不足により、企業の賃上げ圧力が強まっています。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、建設業や卸売業・小売業では給与の伸び率が全体平均を上回る傾向にあります。

デジタル化・AI活用の推進

人手不足の解消策として、企業は業務のデジタル化を進めています。AIの導入により、定型業務の自動化やカスタマーサポートの無人化が進み、少ない人手で業務を効率化する動きが強まっています。

私の経験談:変化に対応できる企業に人が集まる

私は採用コンサルタントとして、人手不足に悩む企業の支援を行っています。人手不足解消の鍵となる「女性」「シニア」「外国人」の活用ですが、企業にアドバイスをしても、なかなか実行に移せないケースが多くあります。これは業務の分解や社内調整が必要となるため手間がかかり、社内での反対もあるためです。

しかし、成功している企業はすでにこうした取り組みを進め、間口を広げた採用を実施しています。人口減少が進む中、女性とシニアの就労促進により2024年の就業者数は過去最多となりました。ただし、女性とシニアの就労率はすでに高水準に達しており、本格的な人手不足時代はこれからです。

残された潜在労働力をどのように就労へ導くかが今後の最重要課題となります。その一例が「スポットワーク」のような新しい働き方です。これは多様な働き方の選択肢を提供するものであり、歓迎すべき動きです。一方で、労働時間の通算管理の難しさや、従来の雇用関係を前提とした税・社会保障制度、採用・雇用に関する各種法制度の対応不足が指摘されています。これらの課題をどう克服するかが、今後の大きな課題となるでしょう。

まとめ:今後の展望と企業が取るべきアクション

  • 労働力人口の減少は不可避であり、企業は柔軟な雇用形態を採用する必要がある。
  • 隙間バイトの活用や業務の分解によって、未経験者やシニアの雇用を促進することが重要。
  • 人材確保競争が激化する中で、企業は賃金の適正な引き上げや、働きやすい環境整備を進めるべき。
  • AIやデジタル技術の活用を積極的に進めることで、少ない人手でも生産性を維持できる体制を構築することが求められる。

今後、企業が競争力を維持するためには、人材確保の戦略を見直し、柔軟な働き方やデジタル化を推進していくことが不可欠です。

ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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