「転勤したくない」と考える若手社員が増えています。背景には、ライフスタイルや人間関係を重視する価値観の変化があります。特に、恋人と離れたくないという理由で転勤を避けたいという声が目立ちます。
転勤の有無は人材の定着に大きく影響します。以前は会社から指示があれば転勤は辞さないスタイルが一般的でしたが、今は違います。時代の変化を感じますね。
本記事では、若手社員のリアルな声や、それに応える企業の制度導入事例、そして私自身の経験も交えながら、これからの転勤制度のあり方について考えていきます。
若手社員が転勤を嫌がる時代背景とは?

今、若手社員の間で「転勤したくない」という声が年々強まっています。特に新卒採用の現場では、全国転勤の有無が内定承諾に大きく影響するケースも増えています。恋人との関係や家族との距離感、ライフスタイルの尊重など、働く場所を自分で選びたいという価値観が広がっているのです。
背景には、人生全体の設計を重視する世代の特徴があります。仕事を軸に人生を組み立てるのではなく、自分の生活、趣味、人間関係とのバランスを取りながら働きたいという思いが強くなっています。SNSやマッチングアプリの普及で恋人との関係が生活の中心にある人も多く、企業の一方的な配置転換に対する反発が起きやすくなっているとも言えるでしょう。
若手社員が転勤したくない本当の理由とは?

結論から言えば、若手社員が転勤を嫌がる一番の理由は「人生設計とのズレ」です。恋人と離れたくない、実家の近くで暮らしたい、趣味や副業と両立したいなど、転勤によってそれらが叶わなくなるという不安があります。
たとえばマッチングアプリ「Omiai」が行った調査では、転勤により恋愛や結婚に不安を感じると答えた人は6割以上に上っています。「婚活が難しくなる」「モチベーションが下がる」といった声も目立ちました。
つまり、企業の都合だけで人を動かす時代ではなくなったということです。
転勤回避ニーズに応える企業の成功事例

こうした変化を受け、いち早く対応したのが専門商社のトラスコ中山です。同社は2024年4月に「ひなどり転勤制度」を導入。恋人の居住地近隣に転勤を希望できる制度で、入社2~6年目の社員を対象に申請を受け付け、すでに男女9名が利用しています。
また、矢作建設工業では、恋人や家族が社員の勤務先を訪ねる際の交通費を会社が負担する制度をスタート。申請数は20人にのぼり、恋人との関係を支援する企業姿勢が注目を集めています。
このように、「ライフスタイルとの両立」を後押しする制度は、若手社員の定着や満足度向上に貢献しています。
私の実体験から考える“転勤制度見直し”の必要性

私はかつて求人メディアの営業会社に勤務していました。毎年10名ほどの新卒社員が入社するのですが、必ずと言っていいほど話題になるのが「転勤の有無」です。
理由は様々ですが、特に多かったのが「恋人と離れたくない」という声。実は私自身も、若いころに4年間、今の妻と遠距離恋愛をしていた経験があります。
遠距離恋愛は想像以上に大変です。交通費も時間もかかりますし、週末に会うためだけに何時間もかけて移動する日々。続けるには覚悟がいります。
だからこそ、企業がこうした若手のリアルな声に耳を傾け、制度として応えていく姿勢は本当に素晴らしいと感じます。
採用力を高めるために転勤制度で検討すべき3つの対応策

採用力と定着力を高めるには、以下のような施策を検討するのが効果的です:
- 勤務地固定の職種を用意する(地域限定職の導入)
- 転勤希望制度(社員主導の異動)を設ける
- ライフイベントを支援する制度(交通費補助、配偶者・恋人同伴制度など)
こうした取り組みは、コストをかけずにできるものも多く、柔軟な働き方を打ち出すことで、自社の魅力アップにもつながります。
転勤制度の見直しがもたらす採用・定着率向上のメリット

近年の若手は「転勤があるから辞退する」「地元で働けないなら別の企業に行く」といった明確な意志を持って就職活動に臨んでいます。そのため、転勤制度の見直しは単なる従業員満足度向上だけでなく、企業の採用戦略における重要な競争力にもなります。
- 内定辞退防止:学生の「転勤アレルギー」に対応できる
- 新卒採用力の向上:応募数・説明会参加率が上がる
- 若手の定着率UP:働く場所が選べることでモチベーションが保てる
- 企業ブランディングへの好影響:SNSなどで共感を呼びやすい
さらに、制度を柔軟にすることで、会社に対する信頼感や安心感を生み、従業員とのエンゲージメントを高める効果もあります。結果として定着率が向上し、育成コストや再採用の手間を減らすことにもつながります。
これらのメリットは、長期的な企業経営の安定にも直結すると言えるでしょう。
まとめ:転勤制度改革が若手採用成功のカギになる理由
若手にとって「転勤したくない理由」は、単なるワガママではありません。人生をどう生きたいか、という価値観の表れです。
かつては全国転勤を当然とする企業文化が一般的でしたが、今の若手世代は「どこで」「誰と」「どのように」生きるかを非常に重視します。その価値観を無視してしまうと、せっかく採用した若手が短期間で離職してしまうリスクが高まります。
柔軟な転勤制度は、単なる福利厚生ではなく、戦略的な採用・定着施策の一つとして捉えるべきです。新卒・若手採用において、企業が選ばれる理由をつくるためにも、今こそ転勤制度を見直すことが求められています。
よくある質問(Q&A)
Q. 若手社員が本当に転勤を嫌がっているというのは一部だけでは?
A. 確かに全員ではありませんが、「転勤に不安がある」という層が顕在化してきており、無視できない規模になっています。特に新卒採用では内定辞退理由に挙がることも珍しくありません。
Q. 恋人がいるかどうかなど、企業が把握してもよいのでしょうか?
A. トラスコ中山のように、本人と恋人の署名をもって任意で提出させるなど、プライバシーに配慮した制度設計が可能です。強制ではなく、希望者に限定する運用が重要です。
Q. 地域限定職を導入すると人員配置が難しくなりませんか?
A. はい、その通りです。ですが、一定数の勤務地固定人材を確保しながら、全体の配置戦略を再設計することで、柔軟な運用も十分可能です。離職を防ぎ、長期的な組織安定にもつながります。
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