インターンシップは、就職活動の一環として多くの学生にとって欠かせない経験となっています。企業理解を深め、実務の雰囲気を体験することで、将来のキャリア選択にも大きな影響を与える貴重な機会です。近年では、インターンシップの参加率が高まり、学生にとって就活の準備段階として重要な役割を果たすようになっています。本記事では、最新のインターンシップ参加率の動向や背景、企業が取るべき対応策について詳しく解説します。
インターンシップ参加率の現状

現在、どの程度の学生がインターンシップに参加しているのでしょうか?最新のデータをもとに、具体的な参加率の動向を見ていきましょう。
2026年卒の参加率は85.6%
2026年卒の大学生のインターンシップ・仕事体験の参加率は85.6%となり、前年の89.5%から3.9ポイント減少しました。それでも過去3年間の水準と比べると高い水準を維持しています。
参加率の変動と過去最高記録
2023年10月時点での2025年卒のインターンシップ参加率は過去最高の89.5%でした。年ごとの変動はあるものの、依然として多くの学生がインターンシップに参加しています。
インターンシップ参加の背景

なぜ、これほど多くの学生がインターンシップに参加するのでしょうか?その背景には、企業の採用活動の早期化や、インターンシップを通じたスキル習得の重要性の高まりがあります。特に、企業側がインターンシップを本選考の前段階として位置付けるケースが増えており、学生にとっても就職活動の準備として参加する意義が大きくなっています。では最近のインターンシップの傾向についてお伝えします。
対面インターンシップの人気回復
コロナ禍からの回復により、対面インターンシップへの関心が高まっています。2026年卒の学生の39.1%が対面中心のインターンシップに参加しており、具体的な内訳は以下の通りです。
- 「対面のみ(WEBなし)」:21.0%
- 「対面が多い(WEBのほうが少ない)」:18.1%
参加企業数の増加
- 2026年卒の学生の平均参加社数は5社以上
- 2017〜2019年卒の平均2社前後と比べると倍以上
- インターンシップが就職活動の前提となる傾向が強まっている
自己分析の課題
- キャリア形成に関する自己評価では**「61点~70点」が最多**
- 多くの学生が**「自己分析が不足している」**と感じている
インターンシップの募集開始時期とスケジュール

インターンシップの募集はいつから始まるのでしょうか?ここでは、一般的なスケジュールについて詳しく解説します。
募集開始時期
- 大学3年生の4月から順次公開
- 大手就職サイトでは、4月1日にインターンシップ情報が解禁
- 実施時期の2~3ヶ月前に募集が始まる
- 応募者多数の場合、予定より早く募集終了することもある
募集期間の特徴
- 夏・秋冬の開催が主流
- 締切は1週間前~2ヶ月前まで幅広い
- 選考が必要なプログラムは早めに締切
- 自治体や官庁のインターンは個別のスケジュール
- 学生の長期休暇(夏・冬)に合わせて開催されるのが一般的
企業が取るべき対応策

インターンシップの参加率が高い現状を踏まえ、新卒採用を行う企業はどのような対策を講じるべきでしょうか?具体的な対応策を見ていきましょう。
① 早期接触の強化
学生がインターンシップに参加する企業数が増え、企業間の競争が激化しています。そのため、早い段階で学生にアプローチし、企業の魅力を伝えることが重要です。インターンシップの情報を早期に公開し、学生がエントリーしやすい環境を整えることで、優秀な人材との接点を増やすことができます。
② 対面プログラムの充実
近年、対面でのインターンシップの需要が再び高まっています。オンライン形式では得られない職場の雰囲気や、実際の業務体験を重視する学生が増えているためです。そのため、企業側も職場見学やグループワークを含む対面型のプログラムを強化することが求められます。
具体的には、以下のような施策が有効です。
- オフィスツアーの実施:職場の雰囲気や働く環境を体感できる機会を提供する。
- 実務体験の機会を増やす:短期間でも実際の業務に関わるプロジェクト型のプログラムを用意する。
- 現場社員との交流の場を設ける:先輩社員や採用担当者との座談会を通じて、リアルな職場の話を伝える。
これにより、学生は企業の実態をより深く理解し、入社後の働くイメージを明確に持つことができるようになります。
③ 学生の自己分析を支援
多くの学生は、自分の適性やキャリアの方向性について十分に理解できていないと感じています。そのため、企業が自己分析をサポートすることで、より多くの学生に企業の魅力を伝えられる可能性があります。
具体的な支援策としては、以下のようなものがあります。
- キャリア相談会の実施:学生が自身の強みや志向を明確にできるように、キャリアアドバイザーや現場社員との相談機会を設ける。
- フィードバック機会の提供:インターンシップを通じて学生に適切なフィードバックを行い、自分の強みや課題を理解する手助けをする。
- 職業適性診断の活用:適性診断を提供し、学生が自身の適性に合った職種や業界を知るきっかけを作る。
こうした取り組みにより、学生は自己分析を深め、就職活動においてより納得感のある選択ができるようになります。また、企業側にとっても、ミスマッチを防ぎ、志望度の高い学生を採用するための有効な手段となります。
まとめ
インターンシップは、就職活動の準備としてますます重要になっています。2026年卒の学生の参加率は依然として高く、企業にとっても優秀な人材と接点を持つ貴重な機会となっています。特に、対面プログラムの充実や早期接触、自己分析の支援が、学生のエンゲージメントを高める鍵となるでしょう。
企業の採用担当者は、インターンシップの内容や運営方法を見直し、学生がより有意義な経験を得られるようなプログラムを提供することが求められます。今後の採用活動において、インターンシップの効果を最大限に活用できるよう、ぜひ参考にしてください。
- 2026年卒のインターンシップ参加率は85.6%と高水準
- 対面インターンの人気回復、参加企業数の増加
- インターンシップの募集開始は大学3年の4月から順次開始
- 企業は早期接触、対面プログラムの強化、自己分析支援がカギ