現在、日本の中小企業は深刻な人手不足に直面しています。少子高齢化による労働人口の減少に加え、若年層の働き手が都市部や他業界へ流出することで、地方や特定の業種では人材確保がより困難になっています。
採用支援を長年やっていますが、本当に人が集まりづらくなってきていると肌で感じます。人手不足の解消はもう表面的な対策では解決できないでしょう。今こそ、根本的にビジネスの仕組みから見直すタイミングです。
例えば、2024年の石川県では休廃業・解散企業が前年比47%増というデータがあり、人手不足が大きな要因となっています。賃金を上げても応募が集まらず、経営を続けられなくなるケースも少なくありません。
「人が足りないから事業が続けられない」。そんな状況に陥らないために、企業は今すぐ対策を講じる必要があります。この記事では、中小企業が今日から取り組める5つの具体策をわかりやすく解説します。
1. 職場環境の改善が最優先|「働きたい」と思われる職場を作る

まずは「働きたい!」と思われる職場作りが人手不足解消の第一歩です。
働きやすい環境が整っていないと、どんなに採用活動に力を入れても応募は集まりません。逆に、良い環境を提供することで定着率も上がり、離職による人手不足も防ぐことができます。
- 給与・福利厚生の充実
- 最低賃金ギリギリではなく、地域や業界の水準を調査して競争力のある賃金設定を行いましょう。
- 住宅手当、家族手当、育児支援、退職金制度など、福利厚生の充実は長期雇用にも効果的です。
- 柔軟な働き方の導入
- フレックスタイム制やリモートワークを導入し、ライフスタイルに合った働き方を選べるようにすることで、応募者層が広がります。
- 組織風土の改善
- 社内コミュニケーションの活性化を目指しましょう。定期的な面談や意見交換の場を設けることで、風通しの良い職場を作りやすくなります。
働きやすい職場環境の整備が、採用力と定着率を大きく左右します。次は、より広いターゲットを採用するための雇用方法の多様化を考えましょう。
2. 雇用方法の多様化でターゲットを広げる

正社員だけにこだわらず、多様な雇用形態を活用することで人材確保の幅が広がります。
現代は、働き方が多様化しています。シニア層や女性、外国人労働者など、これまで十分に活用できていなかった層に目を向けることが重要です。
- パート・業務委託の導入
- すべての業務を社員だけで回すのではなく、業務ごとに外注化や短時間勤務の人材を活用することで柔軟な人員配置が可能になります。
- シニア層・女性の積極採用
- シニア世代は経験豊富で即戦力になりやすく、助成金の活用も視野に入れるとコスト面でも優位です。
- 育児中や育児復帰を目指す女性には、時短勤務や在宅勤務を組み合わせた柔軟な働き方を提案しましょう。
- 外国人労働者の受け入れ
- 特定技能や技術実習制度などの枠組みを活用し、安定的に外国人材を採用する流れが加速しています。
人材のターゲット層を広げることで、採用の可能性がぐっと高まります。次は、採用後の人材育成に目を向けましょう。
3. 人材育成で「辞めない組織」を作る

採用した人が「この会社で働き続けたい」と思える育成・教育環境が大切です。
スキルアップの機会やキャリアパスが見えない職場では、社員は定着しにくくなります。成長を実感できる環境は、働く意欲や会社への愛着を高めます。
- 定期的な研修の実施
- リカレント教育やリスキリングを導入し、時代に合ったスキルを身に付けられる場を提供しましょう。
- OJTの質を向上
- ただ「見て覚えろ」ではなく、マニュアル化やメンター制度を取り入れ、体系的な育成プログラムを整備します。
人材の定着と戦力化ができれば、人手不足に強い会社になります。続いては、少人数でも効率よく回る仕組み作りに進みましょう。
4. 業務の効率化で「少ない人数でも成果を出す」

人が少ない中でも、最大限のパフォーマンスを引き出す仕組みを作ることが求められています。
人手不足はすぐに解決できる問題ではありませんが、業務効率を上げれば負担を減らし、現有戦力で安定した事業運営が可能です。
- ITツール・DXの導入
- 勤怠管理、経費精算、在庫管理などをシステム化し、業務のムダを省きましょう。
- チャットツールやタスク管理アプリの導入で、業務連絡の効率もアップします。
- アウトソーシングの活用
- 給与計算や採用活動など、専門的な業務は外注することで社内リソースを本業に集中させます。
業務の効率化は、離職防止にもつながる重要な取り組みです。次は、採用活動そのものの戦略を見直していきましょう。
私の体験談|人手をかけない仕組みが最重要だと実感

人手不足対策として、まず大事なのは「人手を極力かけない仕組み」でビジネスを回すことだと実感しています。
新しく起業する場合は、一から仕組みを考えることができるので省力化や効率化を進めやすいですが、既存事業を変えていくのは本当に大変です。私が支援しているある飲食店でも、注文を二次元バーコードにする仕組みや、食券機の導入などを提案していますが、なかなか実行には至っていません。
理由は「やった方がいいのはわかっているけど、日々の業務が忙しくてその時間が取れない」というものです。
さらに、最低賃金が上がり、人件費の負担が大きくなっている現状を考えると、仕組みの見直しは必須と言えます。しかし、目の前の業務に追われると、どうしても後回しになりがちです。
だからこそ、経営者自身が意識を変え、「未来のために時間を使う」ことが重要だと、現場を見て強く感じています。
5. 採用活動の見直しで「選ばれる企業」を目指す

情報発信とアプローチ方法を見直し、企業の魅力をしっかり届けることが必要です。
「求人を出しても応募が来ない」のは、企業の情報が届いていないか、求職者が魅力を感じていないことが原因です。
- ダイレクトリクルーティング
- 待ちの採用から攻めの採用へ。求人媒体に頼らず、SNSやスカウトサービスを活用して、積極的に人材へアプローチします。
- 企業文化の発信
- 社員インタビュー動画や職場の雰囲気を伝える写真・記事をホームページやSNSで発信。求職者が「自分が働く姿」をイメージできるようにします。
- 地元採用の強化
- 高校訪問や地元イベントへの出展など、地域に根差した採用活動を強化し、若年層にアプローチしましょう。
選ばれる企業になるためには、採用活動そのものを変革する必要があります。地域やターゲット層に合った採用戦略を立てていきましょう。
まとめ|人手不足対策は「今すぐ」動くことが大切
人手不足は深刻ですが、放置しても改善しません。今回紹介した5つの対策を着実に実行し、「人が集まる」「辞めない」「少人数でも回る」組織づくりを進めましょう。
特に中小企業は、小さなアクションでも大きな効果を生むことがあります。「まずはできることから」を合言葉に、実践を始めましょう。
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