結論からいうと、求人票の年齢は原則「不問」です。年齢制限を設けられるのは、法令上の例外事由に該当する場合に限られます。
特に利用の多い「長期勤続によるキャリア形成」(例外事由3号イ)は、年齢の理由を書けば使える制度ではありません。期間の定めのない雇用であること、職務経験を問わないこと、上限年齢だけを設けることなどが要件です。
この記事では、求人票を作成する企業向けに、例外事由の選び方と、そのまま確認に使えるOK・NG例を整理します。
求人票の年齢制限は原則禁止
労働施策総合推進法では、募集・採用の際に年齢制限を設けることが原則として禁止されています。対象はハローワークだけではありません。民間の求人メディアや自社の採用サイトにも適用され、正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態も問いません。
求人票を「年齢不問」にしていても、実際の書類選考や面接で年齢を理由に判断すれば法の規定に反します。そのため、求人票の表現だけでなく、選考基準まで一致させることが大切です。
年齢制限のルール全体や、採否判断の注意点は、求人の年齢制限ルール完全ガイドで解説しています。
年齢制限が認められる6つの例外事由
年齢制限を設ける場合は、次のいずれかに該当する必要があります。
| 例外事由 | 主なケース | 年齢の設定 |
|---|---|---|
| 1号 | 定年年齢を上限に、無期労働契約で募集 | 上限のみ |
| 2号 | 労働基準法や警備業法など、法令に年齢制限がある業務 | 下限のみ |
| 3号イ | 長期勤続によるキャリア形成を目的に、若年者等を無期労働契約・職務経験不問で募集 | 上限のみ |
| 3号ロ | 技能・ノウハウ継承のため、特定職種で人数が相当程度少ない年齢層を無期労働契約で募集 | 30〜49歳の範囲内で上限・下限 |
| 3号ハ | 芸術・芸能の表現の真実性などの要請 | 上限・下限 |
| 3号ニ | 60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代、または国の雇用促進施策の対象者を募集 | 60歳以上の下限、または施策の対象年齢 |
3号ロや3号ニは、社内の年齢構成や国の施策など、利用条件の確認が必要です。自社だけで判断せず、管轄のハローワークに確認してください。
よく使う例外事由の書き方と記載例
1号:定年を上限とする場合
記載例:64歳以下(定年が65歳のため)
定年制を根拠にする場合、求人票の上限は実際の定年年齢と一致させます。また、期間の定めのない労働契約が対象です。1年契約のような有期契約には使えません。
NG例:58歳以下(定年60歳、業務習得に2年かかるため)
習得期間を差し引いて上限を下げることは認められていません。
2号:法令に年齢制限がある場合
記載例:18歳以上(警備業法第14条の警備業務)
会社の都合ではなく、対象業務に適用される法令と条文を根拠にします。「深夜勤務があるから求人全体を18歳以上にする」のではなく、実際の業務と法令の適用範囲が合っているかを確認します。
3号イ:長期勤続によるキャリア形成の場合
記載例:35歳未満(長期勤続によるキャリア形成を図るため/職務経験不問)
3号イでは、次の要件をまず確認します。
- 期間の定めのない労働契約である
- 対象職種の職務経験を応募条件にしない
- 上限年齢だけを設け、下限年齢は設けない
- 新卒者以外にも、新卒者と同等の訓練・育成体制や配置・処遇を用意する
普通自動車免許のように、職務経験がなくても取得でき、業務に必要な資格は条件にできる場合があります。一方、実務経験が必要な資格や「営業経験3年以上」のような条件は、3号イの趣旨と矛盾します。
3号イで間違いやすい4つのNG例
| NGな記載 | 問題点 | 見直し方 |
|---|---|---|
| 35歳未満(キャリア形成のため)、営業経験3年以上 | 職務経験を条件にしている | 経験条件を外し、未経験者を育成する |
| 18歳以上35歳未満(キャリア形成のため) | 3号イでは下限年齢を設けられない | 上限のみにする。別の例外事由があれば個別に確認する |
| 35歳未満(キャリア形成のため)、契約期間1年 | 有期労働契約である | 無期労働契約の募集に限る |
| 40歳未満(体力を要する仕事のため) | 体力は年齢だけで判断できず、例外事由にも当たらない | 運搬物の重さや作業頻度など、仕事に必要な能力を具体的に書く |
「若手歓迎」「20代活躍中」は書いてもいい?
「35歳未満の方歓迎」のような表現は、年齢不問と併記しても、実質的な年齢制限と同じです。例外事由に該当しなければ使えません。
一方、「20代のスタッフが在籍」のように職場の現状を事実として伝えること自体は、直ちに年齢制限とはされていません。ただし、「20代でなければ応募できない」と誤解される表現は避けます。「年齢にかかわらず、業務に必要な能力や適性を重視します」など、募集方針を明確にすると誤解を減らせます。
年齢を書く前のチェックリスト
- 原則は年齢不問で検討したか
- 年齢制限の根拠が6つの例外事由のどれか明確か
- 上限・下限の設定方法が例外事由と一致しているか
- 1号や3号イ・ロで無期労働契約になっているか
- 3号イで職務経験や、実務経験が必要な資格を条件にしていないか
- 年齢を理由に応募を断ったり、採否を決めたりする運用になっていないか
判断に迷う場合は、求人を公開する前に管轄のハローワークへ確認すると安心です。
年齢ではなく、「どんな人に何を任せるか」を整理する
年齢制限が例外事由に当てはまらないときは、無理に表現を言い換えるのではなく、仕事の中身を見直します。年齢の代わりに、次の情報を具体的に書くほうが、求職者も自分に合う仕事か判断しやすくなります。
- 実際に担当する業務
- 必要な能力・資格・経験
- 運搬する物の重さや作業頻度
- 入社後の教育方法と独り立ちまでの流れ
- 評価基準と期待する成果
求人原稿の表現を整える前に、募集する仕事とターゲットを分解すると、ミスマッチの原因が見えてきます。
求人広告を出す前に、採用課題を整理しませんか?
無料の「採用を考える前に、必ず整理していること」ワークでは、募集する仕事を職種・勤務地・雇用形態・ターゲットに分解し、採用リストとして整理できます。
当社が公開している支援事例の企業でも、ほとんどの採用支援をこの整理から始めています。優先して募集すべき仕事と、次に取るべき行動が明確になるため、求人広告を手当たり次第に出す無駄を減らせます。
まとめ
求人票で年齢制限を設けられるのは、6つの例外事由に該当する場合だけです。とくに3号イは、「キャリア形成のため」と書くだけではなく、無期雇用・職務経験不問・上限のみといった要件と求人内容を一致させる必要があります。
年齢を条件にする明確な根拠がなければ、年齢ではなく仕事の内容・必要な能力・教育体制を具体化するほうが、求職者とのミスマッチを防ぐ求人票になります。
よくある質問
Q. 求人票に年齢制限を書くのは違法ですか?
A. 原則として禁止されています。ただし、定年を上限とする場合や、長期勤続によるキャリア形成を目的とする場合など、法令上の例外事由に該当すれば設定できます。
Q. 「キャリア形成のため」と書けば、経験者を35歳未満で募集できますか?
A. できません。3号イは対象職種の職務経験を問わないことが要件です。経験者を求める場合は、年齢不問として必要な経験や能力を条件にします。
Q. 3号イで「18歳以上35歳未満」と書けますか?
A. 3号イで設定できるのは上限だけで、下限年齢は設けられません。ただし、法令による制限など別の例外事由が該当する場合は、その根拠により下限を設定できることがあります。
Q. 年齢不問なら「20代活躍中」と書いても問題ありませんか?
A. 実際の職場構成を事実として示すこと自体は、直ちに年齢制限には当たりません。ただし、20代以外の応募を妨げると誤解される表現は避け、年齢にかかわらず能力や適性で判断する方針を明確にしてください。
本記事は、厚生労働省の「募集・採用における年齢制限禁止について」および2025年4月1日時点の公式リーフレットをもとに作成しています。個別の求人への適用は、管轄のハローワークや専門家にご確認ください。
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