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関係人口とは?企業の人材確保にも活かせる新たなつながりの形を解説

少子高齢化や地方の人口減少が進む中、「関係人口」というキーワードが注目を集めています。これは、地域に住んではいないけれど、何らかの形で継続的に地域と関わる人たちのこと。

採用コンサルタント:大岩

最近では、自治体だけでなく企業にとっても、関係人口が“人材との新たな接点”として期待されています。

本記事では、関係人口の基本的な意味から、企業が採用や人材戦略にどう活かせるのか、全国の先進事例を交えながらわかりやすく解説します。

関係人口とは?意味と注目される背景

関係人口とは、地域に住んではいないものの、特産品を購入したり、イベントやボランティアに参加したりと、何らかの形で地域と継続的に関わる人たちを指します。

単なる観光客とは異なり、地域と“継続的なつながり”を持つ点が特徴です。移住促進や地方創生の文脈で注目されており、「地域のファンを増やす」ことで、将来的な移住や企業活動、投資につなげる狙いがあります。

背景には、地方の人口減少や高齢化による人手不足、地域経済の衰退への危機感があります。こうした課題に対し、居住地にこだわらない多様な関わり方が期待されているのです。

次のセクションでは、企業が関係人口に注目すべき理由について解説します。

関係人口が企業に与えるメリットとは?採用・人材確保の新戦略

人手不足に悩む中小企業にとって、「関係人口」は新たな人材確保の可能性を秘めています。

副業・兼業が広がる中、都市部のプロ人材と地方企業が関係を築きやすくなっています。実際、新潟市の「副業カンケイ人口プロジェクト」では、都市部の社会人が副業として地域企業に関与し、プロジェクト終了後も地域との関係を継続したいという声が上がっています。

関係人口の活用は、即戦力人材の確保だけでなく、企業のファンづくりやブランディング強化にもつながります。特に中小企業にとっては、自社の魅力やビジョンに共感してくれる外部人材とのつながりは、大きな価値となります。

続いて、具体的な自治体の先進事例を紹介します。

関係人口を活用した地方自治体の成功事例|新潟・富山・福井

新潟市「副業カンケイ人口プロジェクト」

新潟市は、アデコと連携し、副業を通じた関係人口創出に取り組んでいます。3カ月程度の短期プロジェクトで、経営改善や新規事業の支援を通じて地域企業と都市部人材をつなぎます。2023年度からスタートし、2年間で約40人が関与。参加者の多くが「今後も関わりたい」と感じるなど、高い継続性が期待されています。

富山県「Toyama Connect」

富山県は、アジアンブリッジと協業し、デジタルプラットフォーム「Toyama Connect」を構築。イベント情報の発信や関係人口の属性データを蓄積・分析する仕組みを整えました。2500人超のユーザーが平均2.7回訪問するなど、すでに活用が進んでおり、今後は民間主導のイベント展開も視野に入れています。

福井県鯖江市「RENEW」

地場産業の魅力を発信する「RENEW」は、メガネや漆器などのものづくり体験を通じて地域ファンを創出しています。都市部の若者やクリエイターを対象とし、関係人口化を狙った観光資源化の先進例といえるでしょう。

これらの事例に共通するのは、地域の魅力と外部人材を結びつける“仕掛け”の設計です。

採用に活かす関係人口の活用方法|副業・プロボノから始める関係構築

「いきなり正社員で採用」ではなく、「まずは副業やプロボノで関わってもらう」関係構築型の採用が注目されています。

たとえば、

  • 副業人材に週1回リモートで経営改善を依頼
  • 地域イベントに参加してもらい企業の“応援者”に
  • インターン的な関わり方で自社に共感する人材を発掘

といった関係性を積み重ねていくことで、最終的な採用につながるケースもあります。

特に「地域に関心があるが移住はハードルが高い」という人に対しては、関係人口という入り口は非常に有効です。

中小企業が関係人口施策を始めるためのステップと具体例

大企業に比べて柔軟な意思決定が可能な中小企業こそ、関係人口施策をスモールスタートで実行できます。

まずは以下のようなアクションから始めてみてはいかがでしょうか:

  • 自社の想いや価値観を発信するSNS運用
  • 地域イベントや見学会の実施
  • 副業プラットフォームへの登録と募集

また、自治体の関係人口プロジェクトへの参加や連携も有効です。人的資源の不足をチャンスととらえ、外部の力を取り込む姿勢が、採用難時代を乗り越えるカギになります。

まとめ|関係人口は人材戦略の新たな入口となる

関係人口は、単なる移住促進ではなく、企業にとっての“未来の人材候補”との接点をつくる重要な施策です。

地域の魅力を発信し、共感を育て、関係をつくることで、企業のファンであり支援者であり、やがて社員となる可能性を持った存在が生まれます。

人口減少時代にこそ、「関係人口」という考え方を取り入れて、企業の人材戦略をアップデートしてみませんか?

よくある質問(Q&A)

Q. 関係人口と移住者はどう違うのですか?

関係人口は「地域外に住みながらも地域に関わる人」を指します。一方、移住者は実際に地域に住んでいる人を意味します。関係人口は将来の移住候補ともなり得る存在です。

Q. 関係人口施策はどこから始めればよいでしょうか?

まずは自社の想いや魅力を外部に発信し、副業人材や地域イベントへの参加機会をつくるところから始めるのがおすすめです。自治体の施策と連携するのも効果的です。

Q. 関係人口の受け入れにコストはかかりますか?

受け入れ内容によりますが、副業や短期プロジェクトなどであれば限定的なコストで済む場合が多いです。また、採用広報や社外ネットワークの拡大といった副次的なメリットも得られます。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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