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フリーランスも労災対象に?改正安衛法のポイントと企業が押さえるべき実務対応

2026年4月に施行される改正労働安全衛生法により、フリーランス(個人事業主)も一定の労災保護の対象となります。これまで従業員に限定されていた安全配慮や報告義務の範囲が、外部パートナーであるフリーランスにまで拡大することで、企業側にも新たな対応が求められます。

採用コンサルタント:大岩

フリーランスという働き方が広まったことで、法整備も進んでいます。2026年4月からはどんなことに気をつけなければいけないのでしょうか。

この記事では、フリーランスと取引のある企業が押さえておくべきポイントを、採用の専門家の視点からわかりやすく解説します。

改正安衛法の概要と押さえるべきポイント

今回の改正法は、働き方の多様化を背景に、雇用関係にないフリーランスや一人親方なども一定の労災保護の対象に加えるものです。2024年5月に衆議院本会議で可決され、2026年4月から施行されます。

主な改正点は以下のとおりです:

  • フリーランスが業務中に死亡・負傷した場合、発注者が労働基準監督署に報告する義務を負う
  • 建設業などの危険業務に従事するフリーランスは、特別教育の受講が義務化
  • 従業員数50人未満の企業にも、ストレスチェックの実施が義務化

これまで努力義務にとどまっていた部分が、法的義務へと格上げされることで、企業の実務対応も大きく変わります。

→ 次は、なぜこのような法改正が行われたのか、その背景について見ていきましょう。

フリーランスが対象になった背景とは

近年、フリーランス人口は右肩上がりに増えています。内閣官房による調査では、日本国内のフリーランスは462万人にのぼるとも言われており、建設業、IT業界、メディア・クリエイティブ業界など、多くの業界でフリーランス人材の活用が進んでいます。

しかし、雇用契約がないことを理由に、安全管理の対象外とされることも多く、業務中の事故や心身の不調に対して十分な保護が行き届かないケースが問題視されてきました。

結果として、「実質的には従業員と同様の働き方をしているが、保護されていない」グレーゾーンが社会課題となり、今回の法改正へとつながっています。

→ 次に、経営者や採用担当が実務で注意すべきポイントを具体的に見ていきましょう。

企業が対応すべき3つの実務ポイント

1. フリーランスとの契約内容の見直し

今回の法改正を踏まえ、業務委託契約書には以下のような項目を追加・明確化しておくことが推奨されます。

  • 業務の安全管理に関する事項
  • 特別教育が必要な作業の明示
  • 労災発生時の報告フローと責任分担

法的義務を果たすだけでなく、トラブル防止にもつながります。

2. 特別教育の対応体制整備

危険作業を伴う業務を外部に委託している場合、そのフリーランスが必要な知識・技能を持っているかを確認する義務が発注者に課されます。

場合によっては、企業側が外部講習の受講費を負担したり、研修機会を提供することも検討しましょう。

3. ストレスチェック対応の拡大

これまでは50人未満の企業には努力義務とされていたストレスチェックが、法改正により義務化されます。企業としては、産業医や社労士と連携し、体制整備を早めに行うことが重要です。

→ 実務対応は煩雑に見えるかもしれませんが、これらはフリーランスとの良好な関係性づくりにもつながります。

採用にも効く!法対応が信頼につながる

法改正は、単なる義務ではなく、採用戦略にも活かすことができます。たとえば、以下のような点が差別化要因となります:

  • 「フリーランスにも配慮した安全管理体制あり」とPRする
  • 「安心して働ける委託先」として信頼される
  • フリーランスの口コミ・紹介経由で優秀な人材を獲得しやすくなる

特に専門性の高い業務委託人材にとっては、「安心して任せられる企業かどうか」が発注先選びの大きなポイントです。採用ブランディングの観点からも、前向きな法対応がプラスに働くでしょう。

まとめ

今回の改正労働安全衛生法により、フリーランスとの関係にも明確なルールと配慮が求められるようになりました。単なる法令順守にとどまらず、「安心して働ける関係性づくり」は、これからの企業にとって採用力や信頼性を高める重要な要素です。

制度対応を契機に、フリーランスを含めた多様な人材が安心して関われる体制づくりを進めていきましょう。

よくある質問(Q&A)

Q. 労災保険の加入義務は発注者にありますか?

A. 今回の改正では、報告義務のみが発注者に課され、労災保険の加入義務までは含まれていません。ただし今後の制度改正の動向には注意が必要です。

Q. 特別教育は誰が実施するのですか?

A. 原則としてフリーランス自身が受講することが義務化されますが、発注者がその機会や費用を提供することが望ましいとされています。

Q. 既に委託中の契約にも適用されますか?

A. 2026年4月以降は、すべての該当業務に適用されるため、既存契約の見直しが必要となります。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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