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開店初日に100食完売!ビジネスホテルが運営するお弁当店が人気!

今日はビジネスホテルのマーケティングに関する話題です。
中小企業診断士二次試験の事例Ⅱで取り上げられそうな面白い記事が
ありましたのでご紹介します。

今日のポイントです。

  • 環境に合わせて事業ドメインの見直しや差別化の取り組みが重要
  • 新しいチャレンジを続け、成功を積み重ねることで強い組織づくりにつながる
  • 自社にできないことは連携で補うことが中小企業の賢い戦略

開店初日に100食が1時間で完売!ビジネスホテルが運営するお弁当店

コロナ禍で宿泊客がいなくなったビジネスホテルが、お弁当店を開業した。
埼玉県幸手市のホテルグリーンコアを運営するナビ(同県白岡市)が
6月にオープンした「コアラ亭」だ。
地域の食材をふんだんに利用した、人にも環境にも優しいお弁当。
開店初日に100食が1時間で完売した。快調な滑り出しだ。

地域生活・幸福基盤事業――地元に生み出す新たな仕事(神田昌典の未来にモテるマーケティング) 2021/08/09 日経MJ(流通新聞) 3ページ

私は求人広告の営業を長年やってきてまして、コロナが流行して一番打撃を受けている
業種としてはやっぱりビジネスホテルだと思います。
取引先のホテルの担当者さんにお伺いするとスタッフの休業はもちろん、
出社でも仕事がないのでどうしたものか、という感じでした。

雇用は景況感を測る指標でもありますが、
とりわけ求人数が落ちたと感じるのがホテル業です。
クライアントが心配でホテルに関する記事が日経新聞に出たりすると
チーム内の営業スタッフに共有して話題にしていましたが、
ホテル側としても宿泊以外のニーズをとらえるために貸会議室や
テレワーク向けの長期宿泊プランなど新しい取り組みをしていらっしゃる印象でした。

私はよく都心部のビジネスホテルのサウナを利用していましたが、そこでも
早朝サウナと朝食セットやラウンジをカフェとして利用できるようにされていました。

今回の記事のグリーンコアさんはお弁当店を出す前にも
おもしろい取り組みをされて業績を伸ばしてらっしゃったようです。

ベットがないビジネスホテル?

始まりは、近隣に全国チェーンのホテルが出店してきた時に、
ベッドのないビジネスホテルを作ったことだ。
浴室やエアコンなどの設備はどのホテルも大して変わらない。
何で差異化するかを考え、ベッドを置かないことにたどり着いた。

フローリングの床に掘りごたつ式の机を備え、部屋を自由に使えるようにした。
すると、ビジネスホテルながら家族客が宿泊したり、
地域の子連れ客がママ会で昼間に利用したりするようになった。

地域生活・幸福基盤事業――地元に生み出す新たな仕事(神田昌典の未来にモテるマーケティング) 2021/08/09 日経MJ(流通新聞) 3ページ

ビジネスホテルなのにベットがない?はじめて記事を読んだ時はなんのことかと
思いましたがファミリー層を狙った施策だったんですね。

グリーンコアHP
https://www.green-core.com/

近隣に全国チェーンのホテルが進出してきたことが
きっかけとありますが、まさに事業ドメインである誰に・何を・どのようにの
誰に、という定義を大きく変えて成功した例だと思います。

ターゲットをビジネスマンからファミリー層に変えることで他社と競争を避けられる
ブルーオーシャン戦略にもなっています。

家族ができて感じたことなんですが、家族連れが気軽に泊まれるホテルって
なかなかないですよね。

ちなみに私は奥さんと子供3人の5人家族ですが、グリーンコアさんのHPを見て
泊まってみたい!と思いました。
価格も確認したところ10,000~15,000円で泊まれそうですし、
子供が喜びそうなカートや段ボールドーム、金魚つりなどアトラクションも
あります。

近くに東武動物園もあるようなので子供達を遊びに連れて行くには
とても使い勝手がよさそうです。

さらに他に取り組んだ差別化の動きは、

さらに差異化するために、お客様からの要望を聞いて、
徹底的にホスピタリティを向上させた。
おいしい朝食の評価が高かったので、農家から確かな食材を直接仕入れ、
健康に配慮する朝食を有料で提供し始めた。
有料化に反対の声もあったが、宿泊客だけでなく地元のお客様が1日300人も
朝食を食べに訪れるようになった。一時は予約制になったほどだ。

加えて、ルームサービスは地域の飲食店から出前を取れるようにするなど改革を進めた結果、常に9割の稼働を誇る地元で評判のビジネスホテルになった。
こうして培った経験とホスピタリティを生かし、今度はお弁当店を出したわけだ。

地域生活・幸福基盤事業――地元に生み出す新たな仕事(神田昌典の未来にモテるマーケティング) 2021/08/09 日経MJ(流通新聞) 3ページ

差別化の軸としてはお客様からの要望を聞いて対応しているので
3軸(手軽軸・密着軸・商品軸)の中では密着軸ですね。

簡単に差別化の3軸について解説します。

  • 手軽軸・・・うまい!安い!早い!良い物を安く提供する
  • 密着軸・・・顧客の要望に合わせて商品・サービスを提供する
  • 商品軸・・・商品の品質・ブランド力で勝負、安売りしない

もっと詳しく知りたい方は佐藤義典氏の著書を読んでみてください。

顧客の要望を聞いてホスピタリティの向上と朝食の品質向上という
密着した動きで差別化を図ったと考えられます。

でも宿泊客だけじゃなくて地元のお客様も食べにくるほどの朝食って人気なんですね!
1日300人って(笑)食べてみたい。。。
この成功体験が後の弁当事業につながっているんでしょうね。

あと、ルームサービスは地域の飲食店からの出前で対応されています。
これは診断士試験の事例Ⅱでもよくあるパターンの取り組みですね。
自社で提供していないサービスは地域連携で補う、実例として見ておくと
試験の時に色々とイメージしやすいかもしれません。

それでは本題のお弁当店のマーケティング4Pについて
見ていきましょう!

人気お弁当店のマーケティング戦略

グリーンコアさんの弁当事業での4Pについてみていきます。

マーケティング4Pは製品・サービス、価格、流通、プロモーションのことです。
平たくいうと商品、売値、売場、売り方をどうしているか、という話ですね。

製品

相模女子大学の栄養学の学生と共に障害者施設でケーキづくりをしている「3pm さんじ」の横田美宝子氏に協力を要請。原材料にこだわりながら見た目もカラフルで毎日食べても飽きないお弁当を作った。バリエーションを増やすと調理工程が複雑になるが、横田氏のノウハウを導入し簡素化に成功。料理人としてのトレーニングを積んでいないホテルスタッフでも、短時間で均質な味を作り出せるようになった。

地域生活・幸福基盤事業――地元に生み出す新たな仕事(神田昌典の未来にモテるマーケティング) 2021/08/09 日経MJ(流通新聞) 3ページ

お弁当は健康的でかつ見た目がカラフルでInstagramなどのSNSでも映えそうな感じです。健康に配慮したお弁当ってどうしても地味な感じになるイメージでしたが美味しそうです。ボール型の紙食器でそのままレンチンできるし環境にも良さそうですね。

コアラ亭HP
https://www.koalatei.com/

注目した点は外部の専門家に協力を要請していることと、商品のバリエーションを増やす際にネックになる複雑な調理工程を外部の専門家のノウハウで簡素化して、料理人としてトレーニングしていないスタッフでも短時間で均質な味を出せるようにした点です。

まさに診断士試験で出題されそうな内容ですね!
弁当事業の成功要因は何か?って感じで出題されそうです(笑)

価格

気になる価格は、700~850円くらいですね。
高くもなく安くもない感じです。

全国チェーン店の弁当と比較すると若干高いかもしれませんが
健康的な弁当をこの価格で食べれるのであれば私としては十分ありです。

流通

店舗はビジネスホテルから徒歩10秒の場所にあります。
お弁当を買うとホテルの朝食コーナーをイートインスペースとして使えるそうです。

意外と食べる場所に困ることがあるので便利ですね。
ホテルと連携を取りやすい立地でこの点もしっかりされていると思います。

プロモーション

地元の著名インスタグラマーをはじめとした、グリーンコアファンだ。
インスタ映えのする美しいお弁当をインスタグラムで拡散したことで、注目を集めることにつながった。

地域生活・幸福基盤事業――地元に生み出す新たな仕事(神田昌典の未来にモテるマーケティング) 2021/08/09 日経MJ(流通新聞) 3ページ

プロモーションは地元の著名インスタグラマーと、かなり今どきな話です。
ホテル側もSNSでの拡散を狙ってお弁当の見た目にこだわったのかもしれません。

お客様がファンになってくれSNSで話題にすることは
よくある話かもしれませんが、ファンを獲得していくには並大抵の努力では
難しいことだと思います。
しっかりとお客様に向き合った結果の賜物なんでしょうね。

HPを見るとその他にも宿泊客にクーポンを出したりされているようなので
この点もしっかり連動されています。

まとめ

マーケティング戦略が一貫していてとても勉強になる実例だと思いました。
でもお弁当が100食売れても単価が800円と考えると80,000円。
宿泊と比較すると微々たるものだ感じるかもしれません。

ですが、大きいビジネスを一発当てるよりも堅実に
地域のお客様を考えたビジネスをコツコツ積み上げて収益を上げていくことが
安定につながり、将来的に大きな業績向上につながるのかもしれません。
グリーンコアさんの事例を見て、そう感じました。

今日の話題は以上です!
ご覧いただきありがとうございました!

ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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