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なぜ人手不足が止まらないのか?採用現場の未来を読み解く5つの視点

日本全国で聞こえてくる「人が足りない」という声。少子化が背景にあることは誰もが知っていますが、それだけでこの問題は語れるのでしょうか?

採用コンサルタント:大岩

実は、就業者数は増えているのに「人手が足りない」と感じる企業は増える一方です。

本記事では、人口構造の変化、働き方改革、団塊世代の引退といった多角的な要因から、今なぜ人手不足が深刻化しているのかを紐解きます。そして、これからの採用戦略として企業が何を考え、どう動くべきかを5つの視点で解説します。

人手不足はなぜ起きているのか?

「どこに行っても人が足りない」──。 そんな声を聞く機会がますます増えていませんか?

人手不足というと、真っ先に思い浮かぶのが「少子化」です。 実際、日本の出生数は1973年の209万人をピークに減少を続け、 2025年時点で20歳になる若者は106万人と、ピーク時のほぼ半数です。

また、働き手の中心である15~64歳の「生産年齢人口」は、 1995年の8716万人をピークに減少に転じ、 現在では7354万人と1300万人以上も減っています。

これだけ見ると、”働ける人の数が減ったから人手不足”とシンプルに思えますが、 実はそれだけでは説明しきれません。

なぜなら、総務省の労働力調査によると、就業者数自体はむしろ増えているのです。 2025年2月時点で就業者数は6768万人と、31カ月連続で増加中。 つまり、”働く人が減っている”わけではないのです。

女性と高齢者が支えてきた就労構造の転換点

ここで注目したいのが、「誰が働いているのか」という点です。

1995年から2024年にかけて、15~64歳の男性就業者は375万人減りました。 一方で、女性は268万人増加しています。 出産・育児を経ても仕事を続ける女性が増え、社会全体で女性の活躍が進みました。

さらに、65歳以上の高齢者の就業者数も大きく増加。 2024年には924万人と、過去の2.3倍に達しています。 企業側でも定年延長や定年廃止を進める動きが目立ってきました。

このように、男性の減少分を女性と高齢者で何とか補っていたのが 2010年代からコロナ禍前までの構図です。

働き方改革と団塊世代の引退が与えたインパクト

コロナ収束後、急激に人手不足が深刻化した背景には、 「働き方改革」と「世代交代」が重なった影響があります。

2020年4月には中小企業にも残業規制が適用され、 2023年4月には割増賃金率が大企業と同水準に引き上げられました。 これにより、企業は「人を増やさないと回らない」状況に。

加えて、1947~49年生まれの団塊の世代が、 75歳以上の後期高齢者に到達。 労働市場を支えていた大きな層が、 いよいよ引退しはじめたのです。

高齢者の就労意欲は依然として高いものの、 健康や家庭の事情もあり、労働力としての持続性には限界があります。

今後さらに深刻化する?人手不足の未来予測

残念ながら、現在の人手不足はまだ「序章」に過ぎません。

国の将来人口推計によると、 生産年齢人口の減少ペースは、 2020年代は年間約43万人ずつですが、 2030年代には約86万人と、2倍のペースで減っていきます。

働き手がどんどん減っていく中で、 女性・高齢者・外国人といった”補完要因”もすでに活用しきった感があり、 今後は”打ち手が尽きる”リスクも高まります。

まとめ:人手不足の背景と、企業が今からできること

いま日本で起きている人手不足は、単なる一時的な現象ではなく、人口構造・制度変更・価値観の変化といった複数の要因が絡み合った結果です。

特に、少子化による生産年齢人口の減少は長期的なトレンドとして避けられず、そこを補ってきた女性や高齢者の就労も、今後は伸びしろが限られてくるでしょう。

さらに、働き方改革によって「長時間労働でなんとか回す」というやり方も通用しなくなり、企業にとっては抜本的な組織改革と労働環境の見直しが求められています。

だからこそ、企業が今からできることは「採用」と「定着」の両方を強化することです。

採用においては、従来の募集手法に頼るだけでなく、SNSや動画などを活用した情報発信や、リファラル採用・インターンなどの多様な接点づくりが必要です。

定着においては、社員との対話、働きがいのある環境、柔軟な働き方を整え、既存の人材が「辞めない職場づくり」に注力していくべきです。

これからの時代に企業が求められるのは、「採用力」だけでなく「人材を活かす力」。 中長期の視点で、自社なりの人手不足対策を描いていくことが、生き残りの鍵になるでしょう。

よくある質問(Q&A)

Q1. 少子化が進んでいるのに、なぜ働く人が増えているのですか?

女性や高齢者の就業が増えているためです。1995年以降、男性の就業者数が減った一方で、女性と高齢者が増加しました。

Q2. 高齢者の労働力は今後も期待できますか?

意欲は高いものの、健康や加齢に伴う制約もあり、持続的な労働力としては限界が見え始めています。

Q3. 今後の採用戦略で重要になるポイントは何ですか?

柔軟な働き方、働きやすい職場づくり、そして企業の魅力発信が不可欠です。採用だけでなく「定着」も重視する時代です。

Q4. 外国人労働者の受け入れは人手不足の解決策になりますか?

一定の効果はありますが、日本語や文化の壁、制度面の課題も多く、万能な解決策とは言えません。受け入れ体制の整備が必要です。

Q5. DX化や自動化を進めるメリットは?

単に省人化を進めるだけでなく、従業員の業務負担を軽減し、定着率や満足度の向上にもつながります。採用に頼りすぎない体制づくりにも有効です。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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