長門市では、市内事業者の採用活動や人材活用を支援する「人材確保・副業人材活用等支援事業費補助金」を実施しています。
採用サイトの制作・改修、採用動画、求人媒体への掲載、副業・兼業人材の活用、外国人雇用に関するコンサルティングなどが対象です。
補助率は対象経費の2分の1で、複数の事業を組み合わせた場合、1事業者当たり最大65万円の補助を受けられる可能性があります。
一方で、申請前に契約や発注をすると、補助対象にならない可能性があります。この記事では、制度の対象者、対象経費、利用条件、申請時の注意点を整理します。
長門市の人材確保補助金の要点
この補助金は、長門市内の事業者が行う採用活動や外部人材の活用にかかる費用を支援する制度です。
主なポイントは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 令和8年度人材確保・副業人材活用等支援事業費補助金 |
| 実施主体 | 長門市 |
| 補助率 | 対象経費の2分の1 |
| 合計上限額 | 1事業者当たり65万円 |
| 申請回数 | 1事業者につき1回限り |
| 申請期間 | 令和8年4月3日から令和9年3月31日まで |
| 受付方法 | メールまたは長門市役所窓口 |
| 受付順 | 先着順・予算到達時に終了 |
申請期間は令和9年3月31日までですが、予算に達すると、その時点で受付が終了します。
2026年7月17日15時時点では、予算800万円に対して申請額は230万2,000円です。今後の申請状況によって変わるため、申請前に公式ページで最新の予算残額を確認してください。自社が対象になるか分からない場合は、対象要件や活用方法を整理したうえで検討することが重要です。
どのような事業者が対象になるのか
基本的には、長門市内に事業所を持つ中小企業者等が対象です。
市と事業所の設置に関する協定を締結している事業者も対象に含まれます。チラシとQ&Aでは、ほとんどの市内事業者が対象になると説明されています。
株式会社や個人事業主だけでなく、一定の要件を満たす次のような法人・団体も対象になる可能性があります。
- 社会福祉法人
- 医療法人
- NPO法人
- 一般社団法人
- 財団法人
- 公益社団法人
- 学校法人
個人事業と法人の両方を運営している場合は、それぞれの事業者として申請することも可能とされています。
ただし、次のような事業者は対象になりません。
- 市町村民税を滞納している
- 長門市から指名停止措置を受けている
- 市から運営費相当の補助金を受けている
- 宗教活動または政治活動を主な目的としている
- 暴力団または暴力団員等と密接な関係がある
- 市長が補助対象事業者として適切でないと判断した
対象になるか判断しにくい場合は、契約や発注を行う前に長門市へ確認した方がよいでしょう。
補助対象となる4つの事業
対象となる事業は、次の4つです。
| 補助対象事業 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 求人情報発信支援事業 | 2分の1 | 15万円 |
| 副業・兼業人材活用事業 | 2分の1 | 15万円 |
| スポットワーカー活用事業 | 2分の1 | 5万円 |
| 外国人材雇用・活用事業 | 2分の1 | 50万円 |
複数の事業を組み合わせることもできますが、1事業者当たりの合計上限は65万円です。
1.採用サイトや求人広告などに最大15万円
求人情報発信支援事業では、正規従業員の採用を目的とした次の費用が対象です。
- 就職・転職情報サイトへの掲載費
- 求人情報誌への掲載費
- 採用目的の企業紹介動画の制作委託費
- 採用ホームページの新規制作費
- 採用ホームページの改修費
- インターンシップの企画制作に関するコンサルティング費
- インターンシップサイトへの掲載費
- その他、求人情報の発信に必要な経費
求人広告だけでなく、採用サイトや採用動画の制作費も対象になる点が、この制度の特徴です。
ただし、対象となるのは正規従業員の採用に関する取り組みです。パートやアルバイトのみの募集に利用する場合は、対象になるか長門市への確認が必要です。
2.副業・兼業人材の活用に最大15万円
経営課題を解決するために、副業・兼業人材へ業務を委託する費用も対象です。
例えば、次のような業務が想定されています。
- 事業承継や後継者育成
- 広報・PR
- マーケティング
- 販路開拓
- DX推進
- コスト削減
- 人事制度の設計
副業・兼業人材を活用することで、必要な業務を必要な期間だけ依頼しやすくなります。常勤社員を採用する場合と比べて、費用を抑えられる可能性もあります。
ただし、この事業には重要な制約があります。
補助対象となるのは、原則として、山口県プロフェッショナル人材戦略拠点または同拠点に登録されている人材紹介会社を通じて活用する副業・兼業人材です。
企業が独自に探した副業人材と直接契約する場合は、補助対象にならない可能性があります。
3.スポットワーカーの利用手数料に最大5万円
スポットワーカー活用事業では、短時間・単発で働く人材を採用する際のサービス手数料が対象です。
例えば、スポットワークサービスを通じて、時間単位や1日単位で働く人を募集するケースが該当します。
補助対象は仲介サービス等の手数料であり、振込手数料は対象になりません。
また、申請時点でスポットワーカーの利用実績がない事業者に限られます。
すでにスポットワークサービスを利用したことがある企業は対象外となる可能性があるため、申請前に利用履歴を確認してください。
4.外国人雇用のコンサルティング費用に最大50万円
外国人材雇用・活用事業では、外国人の採用や雇用に関するコンサルティング費用が対象になります。
外国人雇用では、採用ルートの選定だけでなく、在留資格、受け入れ体制、生活支援、定着支援など、事前に整理すべき項目が多くあります。
このような課題を専門家へ相談する費用について、2分の1、最大50万円の補助を受けられる可能性があります。
ただし、申請時点で雇用している外国人が5人以下の事業者に限られます。
外国人材の紹介料、渡航費、在留資格申請費など、コンサルティング以外の費用が対象になるかは公式資料だけでは明確でありません。契約前に長門市へ確認してください。
最大65万円になるのはどのような場合か
最大65万円になるのは、複数の補助対象事業を組み合わせた場合です。
例えば、次のような活用が考えられます。
- 採用サイトの制作費:30万円
- 外国人雇用コンサルティング費:100万円
補助額は次のとおりです。
| 取り組み | 経費 | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|---|
| 採用サイト制作 | 30万円 | 2分の1 | 15万円 |
| 外国人雇用コンサルティング | 100万円 | 2分の1 | 50万円 |
| 合計 | 130万円 | - | 65万円 |
この場合、求人情報発信支援事業の上限15万円と、外国人材雇用・活用事業の上限50万円を合わせて、65万円になります。
一方、採用サイト制作と採用動画制作を両方行っても、どちらも求人情報発信支援事業に含まれるため、この区分の上限は合計15万円です。
例えば、採用サイト30万円と採用動画10万円を実施した場合、単純計算では補助額が20万円になりますが、区分上限があるため補助額は15万円です。
採用活動での活用イメージ
この補助金は、単に求人広告費を抑えるだけでなく、自社の採用活動を見直すきっかけとして活用できます。
採用サイトを制作・改修する
自社ホームページに採用情報がほとんどない企業は、仕事内容や職場の雰囲気、社員の声を伝える採用ページを整備する方法があります。
求人媒体で会社を知った求職者が、応募前に会社のホームページを見ることは少なくありません。
ただし、ページを作るだけでは応募につながりません。求める人物像や採用上の課題を整理したうえで、掲載内容を設計することが重要です。
採用動画を制作する
文章や写真だけでは伝わりにくい仕事は、動画と相性があります。
例えば、製造業、建設業、設備工事、運送業などでは、実際の作業風景や社員の様子を動画で見せることで、仕事内容を理解してもらいやすくなります。
制作会社へ依頼する前に、誰に何を伝える動画なのかを整理しておく必要があります。
インターンシップを設計する
インターンシップの企画制作に関するコンサルティング費や、インターンシップサイトへの掲載費も対象です。
学生を集めることだけを目的にするのではなく、仕事への理解や応募につながるプログラムを設計することが重要です。
特に、学生に馴染みのない業界や職種では、専門用語を並べるのではなく、仕事の役割や社会とのつながりを分かりやすく伝える必要があります。
申請前に確認したい5つの注意点
1.契約や発注前に申請する
補助金の手続きは、原則として次の流れです。
- 事業内容と見積もりを決める
- 補助金を申請する
- 書類審査を受ける
- 交付決定通知を受ける
- 契約・発注して事業を実施する
- 実績報告を提出する
- 補助金額の確定を受ける
- 補助金を請求する
公式チラシでは、申請、交付決定、事業実施の順で進める手続きが示されています。
交付決定前に契約、発注、掲載、制作などを開始すると、対象外となる可能性があります。
2.すでに行っている取り組みは対象外になる可能性がある
求人サイトなどにすでに掲載している場合、原則として、令和8年度から新たに取り組む事業が対象です。
同一の職種、媒体、掲載先について、過去にこの補助金の交付を受けたことがある場合も、対象外とされています。
現在利用している求人媒体の契約更新費が対象になるとは限りません。
「新規の取り組み」に当たるか判断しにくい場合は、契約前に長門市へ確認してください。
3.消費税は補助対象外
消費税と地方消費税は補助対象経費に含まれません。
申請書には税込金額と、補助対象となる税抜金額を分けて記載する必要があります。
例えば、税込33万円の採用サイト制作費で、税抜価格が30万円の場合、補助対象経費は30万円です。
補助額は30万円の2分の1となる15万円です。
4.補助金は後払い
補助金は、事業完了後に実績報告を行い、補助金額の確定を受けた後に支払われます。
Q&Aでは、実績報告書類が受理されてから、入金までおおむね1か月程度を予定していると説明されています。
事業者は、いったん制作会社やサービス提供会社へ全額を支払う必要があります。申請前に資金繰りも確認しておきましょう。
5.申請は先着順
申請は先着順で受け付けられ、申請額が予算額に達すると募集期間中でも終了します。
2026年7月17日時点では予算が残っていますが、公開後に状況が変わる可能性があります。検討している場合は、公式ページで受付状況を確認してください。
申請に必要な書類
申請時には、交付申請書のほか、主に次の書類が必要です。
- 事業計画書
- 収支予算書
- 事業概要が分かる資料
- 企業情報シートの写し
- 補助対象経費の根拠となる見積書
- 外国人材雇用の場合は事業概要が分かる資料
企業情報シートは、副業・兼業人材活用事業の場合に必要です。
申請書や事業計画書などの様式は、長門市の公式ページからダウンロードできます。
申請方法と問い合わせ先
申請書類は、メールまたは長門市役所の窓口へ提出します。
申請期間
令和8年4月3日から令和9年3月31日まで
受付時間は8時30分から17時15分までです。
提出先
長門市経済産業部
産業立地・戦略推進課 商工振興班
- 窓口:長門市役所本庁2階8番窓口
- 電話:0837-23-1136
- メール:shoko.bussan@city.nagato.lg.jp
メールで提出した場合は、市から受信確認の返信がないときに問い合わせるよう案内されています。
補助金を使うことではなく、採用成果から逆算する
採用サイトや採用動画が補助対象になるからといって、制作するだけで応募が増えるとは限りません。
まずは、次の項目を整理する必要があります。
- どの職種を採用するのか
- どのような人に応募してほしいのか
- 現在の採用活動で何が伝わっていないのか
- 求職者が応募をためらう理由は何か
- サイト、動画、求人広告のうち、何を優先するのか
例えば、採用サイトを制作しても、求職者にサイトを見てもらう導線がなければ応募にはつながりにくくなります。
反対に、求人広告へ費用をかけても、会社の魅力や仕事内容が伝わらなければ、閲覧されても応募されません。
補助金の対象経費から事業を考えるのではなく、採用課題から必要な取り組みを逆算することが重要です。
まとめ
長門市の人材確保・副業人材活用等支援事業費補助金では、次の費用が補助対象になります。
- 採用サイトや採用動画、求人広告:最大15万円
- 副業・兼業人材の活用:最大15万円
- スポットワーカーの活用:最大5万円
- 外国人雇用のコンサルティング:最大50万円
補助率は2分の1で、複数の事業を組み合わせた場合の合計上限は65万円です。
ただし、申請は1事業者につき1回限りです。また、契約や発注を行う前に申請し、交付決定を受ける必要があります。
補助金を使うこと自体を目的にせず、自社の採用課題や経営課題に合った取り組みを選ぶことが重要です。
補助金を活用した採用活動を一緒に整理します
採用サイトや採用動画を作ることが目的ではありません。自社の採用課題を整理したうえで、応募や採用につながる活用方法を検討することが重要です。まずはお気軽にお問い合わせください。
相談できる内容
- 自社が補助金の対象になりそうか
- 採用サイトと採用動画のどちらを優先すべきか
- 求人広告を含めた採用活動の進め方
- インターンシップの企画や採用広報の改善
- 補助金を活用した事業計画の整理
よくある質問
採用サイトの新規制作費は補助対象になりますか?
専門業者へ委託して制作する採用ホームページは、補助対象になる可能性があります。補助率は2分の1で、求人情報発信支援事業の上限は15万円です。
ただし、正規従業員の採用を目的とすることや、契約前に申請することなどの条件があります。
現在掲載中の求人広告の更新費も対象になりますか?
原則として、令和8年度から新たに取り組む事業が対象です。
すでに同じ職種・媒体・掲載先で補助金を受けたことがある場合は対象外です。単純な契約更新が対象になるかは、申請前に長門市へ確認してください。
採用コンサルティング費用は対象になりますか?
インターンシップの企画制作に関するコンサルティング費用は、対象として明記されています。
一般的な採用戦略の策定や採用業務の運用支援がどこまで対象になるかは、公式資料だけでは判断できません。業務内容と見積書を示して、事前に長門市へ確認する必要があります。
副業人材は自社で直接探してもよいですか?
補助対象となる副業・兼業人材は、山口県プロフェッショナル人材戦略拠点または同拠点の登録人材紹介会社を通じて活用することが条件です。
自社で直接探して契約する場合は、補助対象にならない可能性があります。
申請すれば必ず補助を受けられますか?
申請しても、必ず交付されるわけではありません。
書類審査があり、事業内容や経費が制度の要件に合わない場合は、交付されない可能性があります。また、予算に達した場合は受付自体が終了します。

