みなさんはエージェントコントロールと聞いて、どんなことなのかすぐにピンときますか?
採用人事で使われる言葉ですが、日頃から転職エージェント(人材紹介会社)を利用していないとなかなか聞きなれない言葉なのかもしれません。
今回、なぜエージェントコントロールについて取り上げたかというと、私の支援先で人材紹介会社に紹介を依頼しても採用がうまくいかないケースが増えてきたからなんです。
その支援先の担当者さんは「てっきりエージェントに声をかければすぐに紹介をもらえるものだと考えていた」と仰ってました。
残念ながらそんなに甘くはないんですよね。
エージェントに動いてもらうには付き合い方を知っておく必要があるんです!
この記事を見て欲しい方はこんな方々です。
- 人材紹介会社に依頼しても応募が来ない
- 採用ターゲットとかけ離れた応募者を紹介されることが多い
- 人材紹介会社の担当者との付き合い方がわからない
この記事ではその疑問にお答えします!
この記事って信用できるの?そう感じられる方もいらっしゃると思います。ただ、ご安心ください。私は、求人広告の営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の資格である中小企業診断士を取得して現在は独立して採用・人事の専門家として活動しているコンサルタントです。これまでの採用支援実績は800社以上、零細・中小企業から上場企業まであらゆる業界の採用を支援してまいりました。お役に立てる情報をお届けできるよう努めておりますのでよろしければ最後までお付き合いください。
では、内容に入ってきましょう!
エージェント(人材紹介会社)について知ろう!
実は、私は求人広告の営業を長いことやっていたのですが、求人広告の他にも人材紹介業の講習を受けて片手間ですがエージェントとしても営業活動していました。
メインは求人広告でしたから、本業でやられている人から見たら真似事だったかもしれませんが、一通り業務の流れやどんな気持ちなのかはわかります。
また、求職者として人材紹介会社の面談~選考までを体験したこともあり、多面的に人材紹介会社についてはお伝えできると思います。
人材紹介会社は右肩上がりに増え続けている
みなさんは人材紹介会社(有料職業紹介事業所)の数ってどのくらいだと思いますか?
実は、令和4年度(2022年度)では28,470ヶ所もあるんです!約3万社ですね。
この数だけ聞くと多いのか少ないのかわかりませんが、2013年以降、右肩上がりに増え続けています。ちなみに令和4年度は過去最多でした。
人材紹介会社が増え続けているのは、人口減少や失業率が低下する中で採用が困難である中、多少採用コストがかかっても人材を確保したい、そんな会社が増えたからかもしれません。
エージェント内部の役割分担
エージェントは採用を考えている企業の募集したい人材に求める経験・スキルや人物像、給与などの条件面を確認し、求人情報として保有する一方で、求職者とは面談を通して転職に至った背景や理由を伺い転職の方向性に合う企業を求職者に紹介するなど、企業と求職者の間に入り仲介するのが役割を担っています。
ここで知っておきたいのが人材紹介の営業職は、法人担当と求職者担当に分かれる場合もあるということです。法人担当はRA(リクルートエージェント)、求職者担当はCA(キャリアアドバイザー)ですね。
さらに、 1人の営業が法人と求職者のどちらも担当するスタイルを両面型営業と呼び、それぞれ別の営業を置くスタイルを片面の営業と呼びます。 比較的小規模なエージェントでは営業人員が少ないため、両面型の体制をとる場合が多いです。
私も両面型で頑張っていましたが、両面型は営業が分かれていないのでスピード感ある対応ができるのですが、大量の候補者と面談し紹介することは厳しいと感じました。なので大手は基本的に2つに分かれている印象です。
エージェントに支払う報酬は?
エージェントへの報酬は基本的に成果報酬で、入社が決まったら支払います。気になる報酬額についてですが、理論年収の35%が相場と言われています。※あくまでも相場です。
理論年収とは会社に1年間在籍した場合に得られる年収を、基本給や賞与、手当などをもとに算出したものです。
例えば、年収400万円の人を雇う場合だと報酬は140万円です。
高いですね(笑)。
でも、高いだけにメリットもたくさんあります。一番のメリットは採用にかかる手間を削減できる点でしょう。
エージェントに依頼をすれば、応募の母集団形成や求める人物像に合っているかのスクリーニング、面接日調整、応募者との折衝事など、色々とお世話してくれます。
エージェントは応募者のよき相談相手として転職のアドバイスをしたり、転職意欲を高めることもしてくれる場合もあります。
一見手数料は高くみえますが、自社の採用活動にかかる労力を最小限に抑えることができて優秀な人材を早く採用できるのは魅力ですね。
エージェントに依頼しても紹介されないケースが増えてきた
しかし、人口減少や少子高齢化、働き方改革の影響もあり必ずしもエージェントにお願いすれば質の高い応募者を何人も紹介してもらえることは前ほどスムーズにいかなくなってきています。
そこで、エージェント経由で採用を進める際には事前に知っておいて欲しいエージェントとの付き合い方があります。
それが、エージェントコントロールです。
エージェントコントロールって何をするの?
一体、エージェントコントロールって何をするのでしょうか?
定義をお伝えするとエージェントコントロールとは、自社の採用活動をスムーズに行うために、人材紹介会社の担当者と関係性を強化すること、といえます。
みなさん、紹介料を払うのだから丸投げでいいと思っていませんか?
エージェントと契約して、採用活動を丸投げするのではなくエージェントをパートナーと認識して共に採用活動を行うことが重要となります。
- 定期的なコミュニケーション
- 求人票の確認・ブラッシュアップ
- 選考状況のすり合わせ
- 各エージェントごとの進捗管理など
上記は一例ですが、エージェントコントロールといえど、やることは幅広いです。
ここまでやる必要があるの?そう感じられた方もいらっしゃるかもしれませんね。
それでは、エージェントに依頼するものの採用がうまくいかないケースを見ていきましょう。
エージェント経由で採用が決まらない問題
エージェント経由で採用が決まらないとお悩みの採用担当者さんに話をお聞きすると次のようなことを仰います。
- そもそもエージェントに紹介をお願いしても紹介してくれない
- 紹介してもらえたとしても求める人物像とかけ離れている
- 久しぶりに営業担当者に連絡してみたら、求人していないと思われていた
いかがですか?もしかしたら、みなさん自身も経験されたことがあるかもしれませんね。
では、上記のようなエージェント経由で採用が決まらない問題に対して、有効な解決方法は何があるのでしょうか?
それを特定するためには、エージェント側の立場で考えてみる必要があります。
エージェントの立場で考えてみる
エージェントにこちらの要望通りに動いてもらうには、エージェントの立場で考えてみることが一番です。
まずは、有料職業紹介というビジネスは先ほどお伝えした通り、成果報酬である場合がほとんどです。※一部着手金がある場合もありますが。
成果報酬の厳しいところは、成果が出るまで「タダ働き」であること。
私も経験がありますが、これは非常に苦しいです。
しかも最近では、働き方改革で働く時間が短くなる中で目標を達成させていかないといけないという状況におかれています。
こうしたことをふまえると、必然と「報酬が高くて採用してくれそうな企業」を中心に仕事をせざるを得なくなってしまうんですよね。
そのような企業を「注力企業」と呼びます。
一般的に一人の営業が担当している企業数は100~200社であることが多いですが、その中でも注力企業は10~20社とかなり割合は少ないです。
企業側から見ると、その注力企業として認識されなければ紹介をもらえる可能性は低くなるということですね。
いかがでしょうか?ビジネスとして当たり前のことですが、やはり優先順位がついてしまうのが問題の背景にあります。
では、ここからが本番です!
注力企業として認識されてるためのエージェントコントロールのコツをお伝えしましょう!
エージェントコントロールのコツ5選
それでは、エージェントコントロールのコツをご紹介します。
採用ターゲットに強いエージェントを選ぶ
一つ目は、複数社のエージェントと付き合うことを想定してですが、自社が求めている採用ターゲットに強いエージェントを選びましょう!ということです。
エージェントは約3万社存在するとお伝えしましたが、それぞれ規模やエリアも違えば得意分野も違います。
ホワイトカラーに強い!若年層に強い!業歴が長くて地元では大手に引けを取らない!などなど、本当に色んな特徴があります。
メジャーな大手に声をかければ一安心かと思われるかもしれませんが、意外と小規模なエージェントも良い人材を紹介してくれることも多いです。ちなみに私も小規模なエージェントでしたが、当時はWEBデザイナーかつ若年層の紹介に強く、その分野に関しては成約もできていたことから企業の担当者様から信頼いただけてたと思います。
なので、まずは自社の採用ターゲットを明確にして、その分野に強いエージェントを探すというのも紹介してもらうには必要なことです。
求人情報を具体的に詳しく書く
「このクライアントは本当に採用しようと考えているのかな?」
エージェントとしては採用意欲が高いクライアントを優先したいとお伝えしましたが、知らず知らずのうちに採用意欲が低いと受け取ってしまわれるケースがあります。
特に気を付けたいのが、求人票です。
仕事内容が一行だけしか書かれていない、求職者に対してアピールできるような情報が何一つ書かれていない、それでは紹介したくても求職者にお勧めすることができませんよね。
対面では採用意欲があるように振舞っても実際に求人票をみたら情報が薄い、そんなケースはよくあることです。
求人票はエージェント、求職者にとっても重要な情報です。
決して上手に書く必要はないですが、紹介を増やしたいのであれば、自社の魅力や仕事のやりがいなど余すことなく具体的に書きましょう!
応募者対応を改善する
エージェントは、企業と応募者の中間に立つ存在だとお伝えしました。
ここで頭に入れておかないといけないのは、エージェントの営業担当者は採用担当者だけでなく、応募者とも密にコミュニケーションを取っている、ということです。
応募者に対しては定期的に連絡をとり、転職活動の進捗を確認しながら新たな企業情報を提供したり、選考を受けた場合は当然どんな選考を受けた感想を聞いたります。
そこで応募者から
- 「あの会社は辞退したい」
- 「圧迫面接された」
- 「担当者の応対がひどかった」
などと聞いたらどうでしょうか?
エージェントは応募者が望むキャリアを掴めるように応援する立場でもあります。ネガティブな反応を示されるような会社に紹介するのは気が進みませんよね。
だからこそ企業には、応募者がエージェントに対して「紹介してくれて本当にありがとうございます!」と言ってもらえるような応対をすることが重要です。
エージェントの担当者を巻き込む
エージェントの担当者も人の子です。
先ほど、エージェントのビジネスは成果報酬であることや合理的に注力企業に時間をかけるということをお伝えしましたが、担当者を味方につけると必ずしも自社を振り向いてくれない、ということではありません。
担当者を巻き込むために伝えておかねばならないことは
- 募集の背景
- 現状の採用課題
- 未来の姿
この3点です。
人に感情移入してもらいたい時に意識したいことはストーリー性です。
ただ単に採用をしたいから、ではなく採用をするに至った背景や採用できたとしたらどんな影響・変化があるのか、を伝えるようにしましょう。
この会社を応援したい!そうエージェントから思ってもらえるようなメッセージを日頃から伝えられるときっと心強い味方になってくれるはずです。
エージェントに紹介するメリットを作る
先ほどまでは担当者との関係性に関するものですが、今度はビジネスの視点です。
エージェントのビジネスを理解したうえで、自社を優先させるべきメリットを作るということです。
具体的には以下のような方法があります。
- 成約時の報酬を高くする
- 採用をコミットする(5人紹介してくれたら1名は必ず採用します、など)
- 採用条件を改善する(給与、勤務体系・福利厚生、など)
- ターゲット層を広げる(年齢・経験など)
繰り返しになりますが、エージェントが優先したいクライアントは「報酬が高くて採用してくれそうな企業」です。
それを逆手にとって、自社から積極的に交渉していくのも一案です。
これまでエージェントコントロールのコツについてお伝えしましたが、いかがでしょうか?
もう一つ、重要なことがあります。それは、エージェントに対してやってはいけないNG行動をとらないということ。
最後にそのNG行動についてお伝えします。
エージェントに対してのNG行動とは
ここでは、エージェントに対してこれはやってはいけません!というNG行動についてお伝えします。エージェントと協力関係を築くためにも以下の行動には気をつけましょう。
報酬を値切る
まずは、報酬を低く提示するということです。先ほど述べた通り、エージェントの報酬は成果報酬で理論年収の35%が相場です。
よくあることなのですが、「当社は一律で30%でお願いしています。」そのようにエージェントに伝えてしまうと、注力企業に入りずらく、優先順位を下げられてしまう可能性が高いです。
よっぽど採用が決まりやすいと思われるか、報酬が低い分多く採用するなどの条件がないと協力体制は築きづらいでしょう。
コミュニケーションを取らない
エージェントに高いお金を払うんだから、丸投げでいいでしょ?という方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、残念ながらエージェントに丸投げはNGです。
コミュニケーション不足は、応募者の量・質どちらにも影響が大きいので、営業担当者に丸投げせずに自分から定期的に連絡を取るようにしてみてください。
営業担当者も人の子ですから、応援したいと思える会社には自然と力が入るものです。
以上がエージェントに対してやってはいけないNG行動でした。
上記をふまえて、上手にエージェントとWinWinの関係を築いていけたらいいですね!
まとめ
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