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従業員を守る!接待におけるセクハラ防止策と企業の責任

最近、フジテレビの話題が世間を騒がせていますね。元タレントの中居正広さんに関するトラブルを受け、フジテレビが第三者委員会を設置する事態となりました。この問題をきっかけに、企業のハラスメント対策が改めて注目されています。特に、取引先との会食や接待の場では、セクハラのリスクが高まりやすいと言われています。

採用コンサルタント:大岩

日頃のニュースを見ていると、本当にコンプライアンスに対して敏感な時代になって来たと感じています。今日は企業のリスク管理についての話題です。

企業がこうした場面で従業員を守ることは、とても大切なことです。もし適切な対応をしなければ、労働法に違反する可能性もあります。この問題を避けるためにも、接待におけるセクハラの実態や企業の責任、そして具体的な防止策を詳しくお伝えします。

接待におけるセクハラの実態と私の経験

まずは、私自身の経験からお話ししたいと思います。正直なところ、私は男性なので日常的にセクハラを受けることはほとんどありませんでした。そのため、深く意識していなかったのですが、振り返ると「あれは完全にセクハラだったな」と思う場面がいくつもありました。今回は、そんな私の経験をいくつかご紹介します。

接待の場で経験したセクハラ

私は以前、求人メディアの営業として働いていました。その会社では大規模な接待は少なかったものの、仕事の紹介を受ける際には小さな飲み会が開かれることがありました。そうした場では、お酒の勢いで軽いノリのセクハラ発言が飛び交うこともありました。たとえば、「〇〇ちゃん、もっと飲めるよね?」とか、「今度二人で飲みに行こうよ」といった軽口が普通に交わされていました。

女性営業の困った経験

それに、同僚の女性営業が外部の協力会社と一緒に取引先を訪れたとき、しつこく連絡先を聞かれることがあったんです。さらに、新卒の女性社員と営業に行ったときには、「若い女性と話したい」というだけでアポイントを取るお客様もいました。明らかに仕事の話ではなく、ただの下心ですよね。

独立後に聞くセクハラ被害

独立してからも、同業の女性たちから「取引先でセクハラを受けた」という話をよく聞きます。仕事が絡むとどうしても断りにくく、嫌な気持ちのまま流してしまうことが多いようです。本当は気軽に「やめてください」と言えたらいいのに、現実はなかなかそうもいかないんですよね。

変わりつつある社会の意識

昔は「まあまあ、仕方ないよね」で流されがちだったこうした問題も、今はそうはいきません。企業がしっかりとセクハラを許さない環境を作り、従業員を守る姿勢を見せることが求められています。

接待の場でセクハラが発生しやすい理由と具体例

どうして接待の場ではセクハラが起こりやすいのでしょうか?ここでは、その理由と具体的な事例について分かりやすく解説していきます。

なぜ接待時のセクハラが起こりやすいのか

  • 取引先との関係を重視するあまり、無理に付き合わなければならない雰囲気が生まれやすいことがあります。相手の気分を害したくない、仕事に影響が出るのではという不安から、つい断りづらくなってしまうのです。
  • 「仕事の一環」として受け入れる風潮が根強く残っている企業もあります。特に、接待が文化として根付いている業界では、取引先との関係を円滑にするために参加が半ば義務のようになっているケースも少なくありません。その結果、従業員が不本意な状況に巻き込まれたり、ハラスメントを受けても声を上げにくい環境ができてしまうのです。
  • 特に若手女性社員や営業職は、取引先との関係を重視する場面が多いため、セクハラの被害に遭いやすい傾向があります。仕事上の関係を壊したくないという心理が働き、明確に拒否しづらい状況になりやすいのです。さらに、社内のサポート体制が不十分な場合、被害を訴えること自体が難しくなることもあります。

接待時のセクハラの具体例

  • 性接待の強要:性的な行為を伴う接待の強要。
  • 身体的接触:肩や膝に手を置かれる、抱きつかれるなどの行為。
  • 容姿に関する発言:「可愛いからもっと飲め」「◯◯さんは綺麗だね」などの不適切なコメント。
  • 個室への誘い:二次会で個室やホテルへ誘われる。
  • プライベートな誘い:個人的な食事や旅行にしつこく誘われる。

企業が負う法的責任と接待時のセクハラ対応義務

企業には、従業員をセクハラから守る法的な義務があります。実際にどのような対応が求められているのか、具体的な法律や過去の判例を交えて詳しく解説します。

企業の法的責任

  • 男女雇用機会均等法:企業には、従業員が安心して働ける環境を整えるために、セクハラ防止の対策を講じる義務があります。
  • 労働契約法:企業には、従業員が安心して働けるよう「安全配慮義務」と「職場環境配慮義務」が課せられています。
  • 厚生労働省の指針:接待の場も職場とみなされるため、企業は従業員を守る義務があります。セクハラが発生した場合、企業の対応が不十分だと法的責任を問われる可能性があります。

裁判例から学ぶ企業の責任

  • 2016年名古屋高裁判決:取引先の男性社員から繰り返しセクハラを受けた女性社員が、加害者本人だけでなく、十分な対応を怠った自身の勤務先や取引先企業を提訴しました。この裁判では、企業の対応不足が認められ、慰謝料の支払いが命じられました。企業には、従業員が安心して働ける環境を提供する義務があると強調された判決となりました。
  • 2019年大阪地裁判決:取引先の女性従業員に対してセクハラ行為を行った男性社員が、会社から懲戒解雇処分を受けました。この男性社員は処分が不当だとして訴訟を起こしましたが、大阪地裁は「セクハラ行為の重大性や企業の社会的責任を考慮すれば、懲戒解雇は適切である」と判断し、不当解雇の主張を退けました。この判決は、企業がセクハラに対して厳格な姿勢を取ることの重要性を示しています。

企業が取るべき接待時のセクハラ防止策

ここまで、接待時にセクハラが発生する理由や具体例、法的な観点について解説してきました。それでは、企業としてどのような対策を講じるべきなのか、具体的な防止策を考えていきましょう。社内のルール作りから従業員の意識改革、さらには取引先との関係構築まで、実践的な方法を詳しくお伝えします。

明確な社内方針の策定

  • 社内ルールに「接待時のセクハラ防止策」を明記し、具体的なガイドラインを作成します。明文化することで、従業員の意識向上だけでなく、企業全体での防止策が徹底される効果が期待されます。
  • 「若い女性社員を接待に同席させる慣習」の撤廃。接待の場に特定の性別の従業員を優先的に参加させることは、不平等な職場環境を助長し、セクハラのリスクを高める要因となります。企業は、公平な基準に基づいて接待の参加者を決めるべきであり、従業員が業務上不当な扱いを受けることのない環境を整えることが求められます。

従業員への教育と啓発

  • セクハラ防止研修の実施(特に営業職、若手社員向け)。研修では、セクハラの定義や事例を学ぶだけでなく、被害に遭った際の対応方法や、目撃者としての適切な行動も含めて指導します。また、ロールプレイやケーススタディを取り入れることで、実践的な対策を身につける機会を提供し、従業員の意識向上を図ります。
  • 上司や同僚が即座に対応できる文化づくり。セクハラが発生しそうな場面では、周囲の人がすぐに対処できる環境を整えることが重要です。例えば、上司や同僚が「ストップですよ」と即座に声をかけることで、問題を未然に防ぐことができます。

相談窓口の設置と迅速な対応

  • 取引先からのセクハラ被害を相談できる専用窓口を設置し、従業員が安心して相談できる環境を整えることが重要です。相談窓口では、被害の事実確認や適切な対応策の提案を行い、従業員の精神的な負担を軽減する仕組みを構築します。また、匿名での相談が可能な体制を整えることで、被害を受けた社員がためらわずに報告できる環境を作ることが求められます。さらに、企業として被害報告に対して迅速かつ適切に対応することで、セクハラ問題を放置しない姿勢を明確にし、職場全体の意識向上にもつながります。

取引先との関係構築

  • 契約時に「ハラスメント防止条項」を盛り込み、取引先との契約関係においても明確なルールを定めることが重要です。この条項には、接待時のセクハラ禁止や違反時の対応措置を具体的に記載し、取引先にもその方針を共有することで、企業間での共通認識を構築します。また、ハラスメントが発生した際の報告フローや対応責任を明確にすることで、従業員が安心して働ける環境を整えます。さらに、取引先との定期的な意見交換やセミナーを通じて、ハラスメント防止の取り組みを強化し、長期的な信頼関係を築くことが求められます。

まとめ:接待におけるセクハラ対策は企業の信頼向上につながる

接待の場におけるセクハラ問題は、企業の対応次第で大きなリスクにつながります。従業員を守る姿勢を明確に示すことで、社内の意識が高まり、働きやすい環境が整うだけでなく、企業の信頼性も向上します。取引先との健全な関係を築くためにも、企業全体でセクハラ防止策に真剣に取り組むことが求められます。今こそ、社内の意識改革と具体的な対策を進め、誰もが安心して働ける環境を整える時です。

ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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