人材採用に課題を感じている福井県内の中小企業にとって、採用活動にかかる費用は大きな負担になりがちです。

「採用サイトを見直したい」
「会社説明会の見せ方を改善したい」
「若手人材に向けたPR動画やSNS発信を強化したい」

このような取り組みに活用できる可能性がある制度が、福井県の「ふくい採用力強化補助金」です。

ただし、令和8年度の本補助金は、誰でも申請できる制度ではありません。対象となるのは、令和8年度に福井県から「採用力強化支援企業」として認定された企業です。また、福井県の公式情報では、今年度の「採用力強化支援企業」の募集はすでに終了しています。

本記事では、ふくい採用力強化補助金の概要、対象となる事業者、補助対象経費、申請前に確認すべきポイントを分かりやすく解説します。

ふくい採用力強化補助金とは

ふくい採用力強化補助金は、人材採用に課題を抱える福井県内の中小企業等に対し、採用力を高めるための独自の取り組みを支援する制度です。

単に採用活動の費用を補助するだけでなく、福井県が実施する「ふくい採用力向上支援事業」と連動している点が特徴です。

対象となる企業は、県が派遣する採用コンサルタントの伴走支援を受けながら、自社の採用課題に応じた取り組みを進めます。そのうえで、採用パンフレット、採用サイト、PR動画、企業説明会、Web面接環境の整備など、採用力の強化に必要な経費の一部について補助を受けられる仕組みです。

補助額・補助率

ふくい採用力強化補助金の補助率と補助上限額は、次のとおりです。

項目内容
補助率対象経費の3分の1
補助上限額60万円
補助対象期間交付決定日から令和9年3月31日まで

補助対象となる経費は、令和9年3月31日までに支払いが完了している必要があります。

また、補助金は原則として後払いです。事業を実施し、実績報告を行い、県による確認を受けた後に補助金が交付されます。そのため、事前に資金繰りも含めて計画しておくことが大切です。

対象となる事業者

令和8年度のふくい採用力強化補助金の対象者は、福井県から「採用力強化支援企業」として認定された事業者です。

主な要件として、次のような条件があります。

  • 福井県内に本社機能を有する事業者であること
  • 中小企業者、小規模企業者、またはこれらに準ずると認められる事業者であること
  • 「パートナーシップ構築宣言」「社員ファースト企業宣言」「ふくい女性活躍推進企業」のいずれかの要件を満たしていること
  • 県税の滞納がないこと
  • 労働関係法規等に違反していないこと
  • 同じ補助対象経費について、国や他の地方公共団体等の補助金を重複して受けていないこと
  • 県により採用力強化支援企業として認定されていること

特に重要なのは、「採用力強化支援企業」として認定されていることです。福井県の公式ページでは、令和8年度の採用力強化支援企業の募集は終了したと案内されています。

そのため、現時点で未認定の企業がすぐに申請できる制度ではありません。該当企業は補助金の申請準備を進め、未認定の企業は次年度以降の募集や、他の人材確保関連支援策を確認するのが現実的です。

補助対象となる経費

補助対象となるのは、採用力の強化に資する独自の取り組みに必要な経費です。

具体的には、次のような経費が対象例として示されています。

  • 採用パンフレット、チラシ、各種資料等の作成費
  • 採用向けホームページの制作・改修費
  • 採用に関するSNS、PR動画等の制作・改修費
  • 企業説明会等の参加費
  • 企業説明会のブース装飾品の制作費
  • 説明会会場の使用料
  • 企業説明会で使用する備品・資材の購入費や借入費
  • Web合同企業説明会への出展料
  • Web合同企業説明会に参加するための機材リース・レンタル料
  • Web面接やオンライン説明会を実施するための環境整備費
  • 採用担当者等が受講する採用力強化研修の費用

たとえば、採用サイトを学生や若手求職者向けに分かりやすく改修する、会社説明会で使用する採用パンフレットを作成する、オンライン面接やWeb説明会に対応するためのシステム環境を整える、といった取り組みが考えられます。

採用活動は、求人票を出すだけでは成果につながりにくくなっています。自社の魅力を分かりやすく伝える採用コンテンツや、求職者との接点づくりを見直すことは、人材確保に向けた重要な投資といえるでしょう。

対象外になりやすい経費

一方で、採用活動に関係がありそうに見えても、補助対象外となる経費があります。

福井県の公式情報では、採用活動に直接用いない費用は対象外とされています。たとえば、一般的な企業PRのための経費、自社ロゴやユニフォームのデザイン制作費、学生や求職者へ個別に配布するノベルティ等は対象外です。

また、次のような点にも注意が必要です。

  • 交付決定前に発注・契約・支払いをした経費は対象外となる可能性がある
  • 採用以外の目的にも使う経費は、対象事業との区分が必要
  • 消費税や地方消費税は補助対象経費に含まれない
  • 振込手数料などの間接的な経費は補助対象に含まれない
  • 証拠書類がない経費は、対象経費として認められない場合がある
  • 他の補助金と同じ経費を重複して申請することはできない

補助対象になるかどうか迷う経費については、発注前に事務局へ確認しておくことが大切です。補助金では「後から確認すればよい」と考えて進めてしまうと、実績報告の段階で対象外と判断されるリスクがあります。

活用イメージ

ふくい採用力強化補助金は、単発の広告費というよりも、自社の採用基盤を整える取り組みに向いています。

たとえば、次のような活用が考えられます。

採用サイトの改修

既存の会社ホームページに求人情報を掲載しているだけでは、求職者に十分な情報が伝わらないことがあります。

仕事内容、働く環境、社員インタビュー、キャリアステップ、福利厚生、代表メッセージなどを整理し、採用専用ページとして見やすく整えることで、応募前の不安を減らすことができます。

採用パンフレットの作成

合同企業説明会や学校訪問では、短時間で自社の魅力を伝える必要があります。

採用パンフレットを整備しておくことで、事業内容や職場の雰囲気、求める人物像を分かりやすく伝えやすくなります。特に、製造業、建設業、サービス業など、仕事内容が外から見えにくい業種では有効です。

採用PR動画の制作

若手求職者に向けて、職場の雰囲気や社員の声を伝える手段として、動画は有効です。

文章だけでは伝わりにくい現場の様子、社員同士の関係性、仕事のやりがいなどを見せることで、応募前の理解を深めることができます。

Web面接・オンライン説明会の環境整備

遠方の学生や転職希望者と接点を持つには、オンライン対応も重要です。

Web面接やオンライン説明会をスムーズに実施できる環境を整えることで、採用機会の取りこぼしを減らせる可能性があります。

採用担当者の研修

採用活動では、求人媒体やツールだけでなく、採用担当者の対応力も重要です。

面接での伝え方、求職者とのコミュニケーション、内定辞退を防ぐフォロー、若手人材への訴求方法などを学ぶことで、採用活動全体の質を高めることにつながります。

申請から補助金交付までの流れ

補助金の一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 採用力強化支援企業として認定を受ける
  2. 補助対象事業の内容を検討する
  3. 見積書など必要書類を準備する
  4. 交付申請を行う
  5. 交付決定を受ける
  6. 発注・契約・事業実施を行う
  7. 支払いを完了する
  8. 実績報告を行う
  9. 補助金額の確定を受ける
  10. 請求後、補助金が交付される

注意したいのは、交付決定前に事業を始めないことです。補助金では、交付決定前に発注や契約をしてしまうと、対象経費として認められない場合があります。

採用サイトの制作や動画制作などは、見積取得から納品まで時間がかかることもあります。対象期間内に支払いまで完了できるよう、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

申請前に確認したいチェックポイント

ふくい採用力強化補助金の活用を検討する際は、次の点を確認しておきましょう。

  • 自社が令和8年度の採用力強化支援企業に認定されているか
  • 補助対象となる取り組みが、採用力強化に直接つながる内容か
  • 対象経費と対象外経費を区分できるか
  • 見積書、契約書、請求書、領収書などの証拠書類を保管できるか
  • 交付決定前に発注・契約・支払いをしていないか
  • 他の補助金と同じ経費で重複申請していないか
  • 令和9年3月31日までに事業と支払いを完了できるか
  • 消費税や振込手数料を補助対象経費に含めていないか

補助金は、制度の要件に合っていれば必ず予定どおり受け取れるというものではありません。申請内容、経費の妥当性、証拠書類、実績報告の内容が確認されます。

特に採用サイトや動画制作などは、採用目的と一般的な企業PR目的の線引きが問題になることがあります。制作物の内容や使い方が「採用活動に直接用いるもの」であることを説明できるようにしておくと安心です。

まとめ

ふくい採用力強化補助金は、福井県内の中小企業等が採用力を高めるための取り組みに活用できる補助制度です。

採用パンフレット、採用サイト、SNS、PR動画、企業説明会、Web面接環境、採用担当者向け研修など、採用活動の改善に必要な幅広い経費が対象となる可能性があります。

一方で、令和8年度の対象者は「採用力強化支援企業」として認定された企業に限られます。また、今年度の採用力強化支援企業の募集は終了しているため、未認定の企業がすぐに申請できる制度ではありません。

すでに対象となっている企業は、対象経費やスケジュール、必要書類を早めに確認し、交付決定前に発注しないよう注意しながら準備を進めましょう。

また、今年度対象外の企業も、採用課題の整理や採用サイト・パンフレットの見直しは早めに進めておく価値があります。次年度以降の支援制度や、他の人材確保関連補助金を活用できる可能性もあります。

株式会社コクリエパートナーでは、補助金・助成金の活用に関するご相談を受け付けています。自社で利用できる制度を知りたい、採用活動の改善に使える補助金を確認したいという方は、お気軽にご相談ください。

参考情報

福井県「令和8年度ふくい採用力強化補助金」
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/rousei/kigyoushien/saiyou_hojo.html

福井県「補助金・奨励金のポータルサイト/各種書類の提出先・問合せ先について」
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/rousei/subsidy_portal.html

ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
求人広告の営業として10年間、中小企業の採用現場を見続けてきました。「採用の問題は、経営の問題」と確信し、中小企業診断士(経営コンサルタント唯一の国家資格)を取得。今は採用戦略・人材育成・経営改善を手がけるコンサルタントとして活動しています。「いい人が来ない」「採っても辞めてしまう」——そんなお悩み、ぜひご相談ください。経済産業省認定経営革新等支援機関 / 中小企業基盤整備機構経営アドバイザー