「子供の頃の好きが、今も好き」――そんな“元服しない大人たち”が、いまの消費や働き方を大きく動かしています。トミカ、たまごっち、メゾピアノ、仮面ライダー…懐かしさと今っぽさが融合した“キダルト”という消費スタイルが、採用活動にも新たな示唆を与えてくれます。
日本人はマジメとよく言われますが、仕事よりも趣味や好きなことに没頭する人も多いのではないでしょうか?実は採用においても働く人の価値観を把握することはとっても大事なんですよ。
本記事では、拡大するキダルト市場の特徴と、企業が採用にどう応用できるかを考察していきます。
キダルトとは?「子供心を忘れない大人」が主役の時代

「キダルト(Kidult)」は、子供(Kid)と大人(Adult)を組み合わせた造語で、子供向け商品の楽しさを大人が本気で楽しむ新しい消費スタイルを指します。かつての“レトロブーム”が一過性の流行だったのに対し、今では立派な消費ジャンルとなり、特に90〜00年代カルチャーを楽しむ“平成女児”世代が牽引しています。
実際、2023年度の玩具市場は前年比7%増、ついに1兆円を突破しました。たまごっちやトミカ、メゾピアノなどが再評価されるだけでなく、大人向けの変身ベルトやコスメなど、子供時代の憧れを大人になった今、自分の手で叶える動きが広がっています。
こうした動きは単なる懐古趣味ではなく、“感性の共鳴”としての消費。採用にもこの“共感”の力が活きるのです。
なぜキダルトが注目されているのか?——「消齢化」と「情報過多」の時代背景

背景には二つの大きな時代の流れがあります。一つは「消齢化」。年齢による価値観の差が小さくなり、50代でも10代と同じアニメやSNSコンテンツを楽しむ時代になりました。もう一つは「情報過多」の中で、“自分が初めて知ったこと”が“最新”として認識されるという現象です。
結果的に、昔のキャラクターやアイテムでも、新たな視点で“初体験”として楽しむことが可能になっています。
働く世代にもこうした価値観は浸透しており、「仕事に好きや推しを持ち込みたい」という思いが強くなっています。これは、採用活動において企業が“価値観の共鳴”を重視すべき理由でもあります。
私の体験から感じる“キダルト”の可能性

私は1986年生まれです。最近、自分が子供の頃に流行っていたゲームやアニメがリメイクされることが増えていて、懐かしさから思わず購入してしまうこともありました。
仕事においても「好き」や「共通点」が人間関係を築くきっかけになります。出身地が同じ、趣味が同じ、興味が近い――こうした話題は自然と会話が弾み、信頼関係を深めるのに役立ちます。
一方で、職場の人間関係に悩み、離職してしまう人も少なくありません。だからこそ、価値観や関心ごとが共鳴することの重要性を強く感じています。
キダルトという言葉は一見、採用とは無関係に見えるかもしれません。しかし中小企業にとっては、社員との共通点や“好き”をきっかけにした関係性づくりが、人材確保の大きなヒントになるのではないでしょうか。
採用にどう活かせる?キダルト視点の4つのヒント

1. 採用メッセージに“好き”や“懐かしさ”を込める
例えば、「子供のころワクワクした気持ち、今の仕事に活かしませんか?」のように、個人の“原体験”に訴えるメッセージは共感を呼びます。条件面ばかりを強調するよりも、感情を動かす表現が効果的です。
2. 共感を呼ぶ“カルチャー発信型”の採用PR
推しカルチャーの社内サークルや社員紹介など、「この会社なら自分の趣味も認めてもらえそう」と思わせるコンテンツは、応募の後押しになります。「平成女児歓迎!」のような共通言語を使うのも効果的です。
3. “なりきりOK”な職場の空気をつくる
ガンダムのキーボードや仮面ライダーのマグカップが普通に使われている職場など、好きなものを持ち込める文化は働きやすさに直結します。制服やデスク周りの自由度を高めるのも有効です。
4. “発信したくなる職場”をSNSで伝える
発信欲をかき立てる職場づくりも大事です。社員が自分の席やガジェットをカスタマイズできたり、イベントやオフィスの雰囲気をInstagramで紹介できたりすると、自然と応募者の関心も高まります。
まとめ|“大人のまま子供心を持ち続ける”人材に、企業はどう応えるか

かつては“子供っぽさ”がマイナスとされましたが、今や“好きを貫く姿勢”こそが信頼される時代です。企業に求められているのは、そうした価値観に共感し、「あなたらしさ」を歓迎する姿勢を見せること。
キダルトな心を持つ人材こそ、創造性と発信力を兼ね備えた“これからの即戦力”。採用活動にキダルト的な視点を取り入れることは、単なる流行追随ではなく、価値観に寄り添う本質的な戦略となるのです。
Q&A|キダルト視点の採用に関するよくある疑問
Q. キダルト的な採用戦略はどの業種に合いますか?
A. IT、広告、エンタメ、教育など“発想力”や“人間性”を重視する業種に特にマッチします。
Q. 社内カルチャーが堅いのですが、どう取り入れれば?
A. まずはSNSやパンフレットに趣味を絡めた「社員紹介」からスタート。少しずつ“好きに寛容”な文化を可視化していくことが効果的です。
Q. 若手採用に効果はありますか?
A. 若手世代は「好き」「推し」など感情に基づいた選択を重視する傾向が強く、キダルト視点の採用は高い効果が期待できます。
Q. 採用ブランディングにも活用できますか?
A. はい。採用パンフレットや動画で懐かしさや趣味性を盛り込むことで、他社と差別化された魅力あるブランディングが可能になります。
Q. 社内の年配層とのギャップが不安です。
A. 実は「消齢化」の影響で、50代以上でも同じコンテンツを楽しんでいる人が増えています。社内の共通言語として機能するケースも多いです。
【無料】採用人事に役立つメルマガ配信中!

毎週火曜・金曜の11時30分ごろに最新情報をお届けしています。ブログでは書けない、ここだけの話や実践的な採用ノウハウも盛り込んでいます。
不要になった場合は、いつでも簡単に解除可能です。まずは気軽にご登録ください!