企業の採用力を高めるうえで、「給与やボーナスの水準」は避けて通れない要素です。特にボーナスは、年に1〜2回の大きな支給イベントであり、求職者にとっても「この会社に入ってどれだけ評価されるか」を測る重要な指標となります。
お金が全てではないですが、ボーナスは求職者にとって魅力を感じる要素の一つですよね!最近ではボーナスを今までよりも多く支給している企業が増えているようです。この記事で最近のトレンドを把握しましょう!
2024年冬のボーナスは、支給額・支給率ともに大幅な伸びを見せ、過去16年で最も高い水準に達しました。本記事では、厚労省の最新調査をもとに、業種・年齢・性別・企業規模ごとのボーナス平均を紹介しながら、経営者・採用担当者が押さえておくべき「採用と定着に活かすボーナス戦略」について詳しく解説していきます。
2024年冬のボーナス平均は41.3万円。過去16年で最高水準に

2024年の冬季賞与(ボーナス)は、企業にとっても労働者にとっても注目すべき結果となりました。厚生労働省の調査によると、5人以上の事業所での1人あたりの平均支給額は41万3277円。前年から2.5%増となり、2008年以来16年ぶりの高水準です。
支給率も大きく改善されており、賞与を支給した事業所の割合は77.8%(前年比+8.8ポイント)と、01年冬以来の高さに。労働者全体に占める支給対象者の割合は**87.3%**に達しています。
この背景には、人手不足が深刻な業種が、賞与を通じて人材確保に力を入れている現実があります。特に飲食サービス業では前年比12.1%増、生活関連サービス業で9.4%増など、採用競争が激化する分野ほど支給額が上昇しています。
では、自社のボーナス水準が高いのか低いのか、判断するにはどんな視点が必要でしょうか?
業種・企業規模で大きく異なるボーナス額。自社の立ち位置を把握しよう

ボーナスの平均額は、業種や企業規模によって大きな差があります。以下のデータから、自社が属する業界の水準をまず把握しましょう。
高額な業種(2024年冬)
- 自動車産業:約103.9万円
- 鉄鋼:約98.2万円
- 化学:約98.1万円
- 建設:約96万円
一方で、
低額な業種
- 宿泊・飲食サービス業:約34万円
- 運輸・郵便業:約33.9万円
- 卸売・小売業:約34.5万円
また、企業規模が大きくなるほど支給額は高くなる傾向があります。
- 経団連調査:大手企業の冬ボーナス平均 約92.5万円
- 東証プライム上場企業:83.5万円
- 中小企業:上記よりやや低水準
自社が平均より高ければ、採用広報に活かすことができますし、低ければ見直しの検討材料になります。
年齢・性別でも違うボーナスの平均額。給与設計の参考に

従業員の年齢や性別でもボーナス支給額には差が出ます。
性別による違い
- 男性:年間 約121.9万円(別調査では105.3万円)
- 女性:年間 約77.7万円(別調査では63.3万円)
女性は男性の約6割程度の支給額である傾向があり、雇用形態や職種、育休取得率などの影響が考えられます。
年代別のボーナス平均
年齢層 | 年間支給額 | 支給月数 |
---|---|---|
20代 | 約74.8万円 | 2.4ヶ月 |
30代 | 約90〜110万円 | 2.7ヶ月 |
40代 | 約98〜130万円 | 2.5ヶ月 |
50代 | 約112〜170万円 | 2.6ヶ月 |
45〜49歳あたりがボーナスのピークで、60代以降は減少する傾向があります。
これらのデータは、給与テーブルの見直しや、職種ごとの支給方針設計にも役立ちます。
私の体験談:ボーナスに感じた「差」から見えること

ボーナスに関して、今でもよく覚えているのが「中小企業と大企業の差」です。
私が20代の頃、中小企業に勤めていた一方で、今の妻は大手金融企業に新卒で入社していました。やはり気になるのはお互いのボーナス事情です。
ある日、思い切って妻に聞いてみると、なんと入社1年目にも関わらず年間で100万円以上の賞与を受け取っていたとのこと。対して私の方は、月給の1〜2ヶ月分。正直、かなりの差を感じたのを覚えています。
それ以来、「ボーナス=企業の待遇の象徴」だと強く感じるようになりました。
最近では、高校新卒採用の現場でも「ボーナス支給実績」を強調する企業が増えています。中には「賞与実績9ヶ月分」と打ち出す企業もあり、学生や保護者、先生方にも強いインパクトを与えているようです。
もちろん、あまりにも高すぎる金額は「本当かな?」と疑念を抱かれることもあります。とはいえ、ボーナスという具体的な数字は、企業の誠実さや魅力を伝えるうえで非常に有効な武器になると、私自身の経験からも感じています。
人材獲得・定着の武器としての「ボーナス戦略」

今や、ボーナスは単なる一時金ではなく、採用と定着の戦略的ツールです。
ボーナスを“見せる”企業が増えている
求人票や採用ページに、「平均賞与〇ヶ月分」「実績〇万円」と記載する企業が増加しています。
特に人手不足業種では、求職者にとって給与や賞与が応募の大きな判断材料になっています。飲食・介護・建設などでは、前年比で8〜12%の賞与増加が見られるように、待遇改善が急務となっているのです。
2025年のボーナスはどうなる?企業の業績次第で明暗分かれる

一方で、先行きには不透明さも漂っています。企業業績の伸び悩み、世界的な政治・経済リスク(米中関係、為替、物価高)などが影を落としています。
ニッセイ基礎研究所の分析によれば、「2025年の夏・冬のボーナスは、2024年より伸びが鈍化、またはマイナスに転じる可能性もある」との見解もあります。
収益次第でボーナス水準が変動する企業ほど、安定的な給与制度とのバランスが重要になってくるでしょう。
まとめ|自社のボーナス水準を見直し、人材戦略に活かそう
日本のボーナスの平均額は、業種・年齢・性別・企業規模によって大きく異なります。自社のボーナスが高い場合は“見せ方”を工夫して採用に活かし、低い場合は今後の改善材料として検討していくことが重要です。
ボーナスはコストであると同時に、人材採用・定着における投資とも言えます。
今後の採用戦略において、数字の裏付けをもとに、自社の魅力をどう伝えるか。ボーナスという切り口も、忘れてはならない重要な要素です。
よくある質問(Q&A)
Q1:ボーナスを出していないと、やはり採用には不利になりますか?
A:はい、不利になるケースが増えています。特に中途採用や若手採用では「賞与あり・実績あり」と明記している求人が注目されやすく、選考へのエントリー率にも差が出る傾向があります。
Q2:ボーナス額を求人票に記載する場合、どのように書くと良いですか?
A:「賞与年2回(前年度実績:平均〇ヶ月)」のように、実績ベースで記載するのがおすすめです。数字に説得力があることで、応募者の安心感にもつながります。
Q3:中小企業では賞与が少ないのが普通なのでしょうか?
A:統計的には、大企業よりも支給額が少ない傾向はあります。ただし、支給回数や業績連動型のインセンティブ制度など、別の魅力を打ち出す工夫次第でマイナスにはなりません。
Q4:年齢や性別によるボーナス差が大きいのは問題ではないでしょうか?
A:雇用形態や職務内容による影響もあるため、単純な差とは言い切れません。ただし、社内で説明責任が果たせるよう、公平性のある設計や評価制度の整備が求められます。
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