人材育成のヒントは、必ずしもビジネスの世界に限られるものではありません。たとえば、花巻東高校で大谷翔平選手や菊池雄星選手を育てた佐々木洋監督の指導哲学には、企業における育成にも通じる多くの学びがあります。スポーツの現場で磨かれた育成の視点は、組織づくりや経営においても大いに役立つのです。
世界で活躍する大谷選手を育てた佐々木監督はどんな指導哲学を持っているのでしょうか?気になりますよね!
「人材育成」と聞くと、研修やOJTなどの手法に目が向きがちですが、そもそも育成の目的や考え方がズレていれば、どれだけ手間をかけても効果は出ません。少子化・人手不足・働き方の多様化が進む現代では、採用と同じくらい、あるいはそれ以上に「育てる力」が企業の未来を左右します。
そこで今回は、経営者や人事担当者の皆さんに向けて、「人材育成で本当に大切な7つの視点」を具体例とともにわかりやすく解説していきます。
1. 人材育成の第一歩は「目的の明確化」

育成の成果が出ない一番の原因は、「なぜ育てるのか」が曖昧なことです。たとえば「即戦力化」と「長期的なリーダー育成」では、求める行動や学びの内容も変わります。
目的の例:
- ビジネスマインドの醸成
- 専門スキルの向上
- 組織への帰属意識の強化
目的が明確であれば、従業員も育成の意義を理解しやすくなり、自ら動くようになります。育成のスタートは「何のために育てるのか」を言語化することから始まります。
次に考えるべきは「目標設定」です。
2. 成果を出す育成には「目標設定」が不可欠

育成には、具体的なゴールが必要です。目標があるからこそ、人は努力できます。
佐々木監督は、「目標設定の仕方を教えることが育成の要」と語ります。選手には「マンダラチャート」を使い、夢から逆算した中間目標と行動計画を立てさせていました。
これはビジネスの世界でも同じです。目標が明確なら、進捗管理や評価もスムーズになります。
ただし、個々の状態を把握しないと、的外れな目標になりかねません。そこで大切なのが「スキルの可視化」です。
3. スキルの可視化で、個別最適な育成を

誰が何をどの程度できるのか。それが見えないと、育成の重点も決められません。
スキルマップや自己評価シートなどを活用すれば、
- 個人のスキルの棚卸し
- 組織全体の弱点の把握
- 今後の成長戦略との連携 が可能になります。
特に中小企業では、属人的なスキルに頼りすぎてブラックボックス化しているケースが多くあります。スキルの可視化は、育成だけでなく業務改善にもつながる一石二鳥の施策です。
ただし、「やらされ感」で動く育成には限界があります。次に重要なのは「自主性の育成」です。
4. 自主性を引き出す育成環境を整える

人は「自分の意志」で学ぶときに最も成長します。だからこそ、育成対象者が自ら成長したいと思える環境づくりが大切です。
佐々木監督は、生徒に対して「どんな選手に勝ちたいか」「そのために何が必要か」を問いかけるシートを配布していました。こうした問いによって、自分で考え、行動に移す力が育まれます。
「自主性=放任」ではありません。目標の立て方を教え、問いを投げかけ、考える習慣を作る。それが、主体的に学ぶ土台になります。
次は、そんな環境を維持するために欠かせない「モチベーション管理」です。
5. モチベーションは「外発」より「内発」

外から与える報酬や叱咤激励では、モチベーションの持続は難しいもの。重要なのは、本人の中から湧き出る「内発的動機」です。
そのために有効なのが、
- 定期的なフィードバック
- 小さな成功体験の積み重ね
- 成長実感を得られる工夫
評価の方法にも注意が必要です。日本の教育や企業では「減点法(できないことを指摘)」が多くなりがちですが、米国では「加点法(できたことを評価)」が主流。
長所を伸ばす文化を育むことで、社員の可能性は格段に広がります。
次は、その成長を支える「育成手法の選び方」です。
6. 育成手法は多様に。社員ごとに最適解を

人材育成に「これ一つでOK」という万能な方法は存在しません。職種やレベルによって適切な育成手法は異なります。
主な手法:
- OJT(現場での実践)
- OFF-JT(研修やeラーニング)
- メンター制度
- 外部セミナーや異業種交流
重要なのは、育成の目的と対象者のレベルに応じて手法を組み合わせること。効率重視のあまり、「とりあえずOJT」で済ませていないか、見直すことも必要です。
最後に、育成を現場任せにしない「経営層との連携」が重要です。
7. 人材育成は経営戦略そのもの

人材育成は、単なる教育ではありません。企業の未来をつくる「経営戦略」の一部です。
佐々木監督は「自校に優秀な選手が来ないのは、出口(進路実績)がないから」と気づき、育成のあり方を根本から見直しました。
このように、経営者や上層部が育成の本質を理解し、自ら学び、現場と対話を重ねることが、最も強い育成文化をつくります。
私の体験談:育成がうまくいかなかった頃と、考え方を変えてからの変化

私はもともと求人広告代理店で営業として働いていました。入社5年目にはリーダーとなり、チームを率いる立場になりました。メンバーの多くは新卒や未経験の中途採用者で、右も左も分からない状態からのスタートでした。
当時の私は「自分ができることは他人もできるはず」という考えに囚われており、その結果、育成はうまくいきませんでした。任せた仕事に思うような成果が出ないと、自分でやってしまい、結局メンバーは育たず、次々と辞めていくという悪循環に陥りました。
しかし、あるとき考え方を改めました。「自分がやる」のではなく、「メンバーにやってもらう」。そのために、誰よりも早く出社して仕事を細かく分解し、丁寧に指示を出すようにしました。とにかく「経験させる」ことを重視し、任せて、見守り、フィードバックすることを意識しました。
すると、少しずつメンバーが自信を持ち、できることが増えていきました。中には私を尊敬してくれるような関係性も生まれ、職場の雰囲気が明らかに変わりました。
この変化の原点は、「人を育てられる人になろう」と自分自身に目標を課したことです。目標設定が自分の行動を変え、それが育成の質を変えたと実感しています。
まとめ:常識を疑い、未来を育てる

人材育成は、過去の成功体験にしがみつくのではなく、未来に向けて「常識を疑いながら考える力」を育てることです。
そしてその第一歩は、大人自身が「目標設定」をし、成長することかもしれません。企業の未来は、人の力でしか変えられません。
まずは自社の育成方針を見直し、「なぜ、誰を、どのように育てたいのか」を問い直してみてください。
よくある質問(Q&A)
Q. 社員が自主的に学ばないのですが、どうすればいい?
A. 自主性を育てるには、目標設定の方法を教えることと、小さな成功体験を積ませる仕掛けが効果的です。
Q. 育成の効果を測るにはどうしたらいい?
A. スキルマップや評価シートを使い、事前・事後で比較できるようにしましょう。
Q. 忙しくて育成に時間が割けません。どうすれば?
A. OJTに加えて、動画学習やeラーニングを活用することで、日常業務の中で学びを促進できます。
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