シニア層の応募があったとき、
「年齢を理由に不採用と伝えてよいのか」
「不採用通知はどう書けばよいのか」
と迷うこともあると思います。

特に、若手採用を想定していた求人にシニアの応募があった場合、現場としてはどう伝えるべきか悩みやすいものです。
ただ、ここで気をつけたいのは、年齢そのものを理由に採否を判断したり、年齢を理由に応募を断ったりすることは、原則として認められていないという点です。厚生労働省は、募集・採用における年齢制限を原則禁止としており、形式上「年齢不問」としていても、実際に年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定したりすることは法の趣旨に反すると案内しています。

そこで今回は、シニア応募者への不採用通知について、年齢理由の考え方、通知文の書き方、問い合わせがあったときの対応まで整理します。

この記事の内容を動画でも解説していますので、あわせてご覧ください。

結論:年齢を理由に不採用を決めることは原則できない

結論からいうと、シニアの応募者を年齢だけで不採用にすることは、原則としてできません。通知文で年齢に触れなければよいのではなく、実際の選考そのものを、仕事に必要な適性・能力・勤務条件などに基づいて行う必要があります。

厚生労働省の案内では、労働施策総合推進法に基づき、募集・採用の年齢制限を原則禁止しています。求人票を「年齢不問」としていても、実際に年齢で応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を基準に採否を決めたりすることは法令違反です。ただし、定年年齢を上限とする場合など、法令で認められた例外事由に該当する募集は除かれます。

不採用通知は、応募への感謝と選考結果を簡潔に伝える形で構いません。ただし、実際には年齢で判断したのに、文面だけを「総合的に判断した結果」と言い換えて済ませるべきではありません。先に選考基準を整え、その基準と矛盾しない通知にすることが重要です。

シニア応募者を不採用にする際に企業が整理したいこと

不採用通知の文面を考える前に、企業側で整理しておきたいことがあります。
それは、年齢ではなく、何を基準に採用判断したのかです。

厚生労働省の「公正な採用選考」では、応募者本人の適性や能力を基準として選考することが重要だとされています。年齢そのものではなく、業務内容との適合性、これまでの経験、勤務条件との一致、期待する役割との整合性などで判断することが基本です。

たとえば、次のような観点です。

  • 募集している業務内容と経験が合っているか
  • 勤務時間や働き方の条件が一致しているか
  • 現場で求める役割に合っているか
  • 他候補者との比較の中で総合的にどうだったか

ここが曖昧なままだと、不採用通知の表現もぶれやすくなります。
まずは、社内で「今回は何を重視して判断したのか」を言葉にしておくことが大切です。

シニア応募者への不採用通知の基本的な考え方

不採用通知では、次の3点を押さえるとまとまりやすいです。

  • 応募への感謝を伝える
  • 選考結果を簡潔に伝える
  • 今後の活躍を祈る言葉で締める

ここで大事なのは、不必要に理由を書きすぎないことです。
「慎重に選考した結果」「総合的に検討した結果」など、一般的な表現で十分なことが多いです。

書類選考後の文例

このたびは弊社求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
慎重に選考いたしました結果、誠に残念ではございますが、今回はご希望に沿えない結果となりました。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
末筆ながら、今後のご活躍をお祈り申し上げます。

面接後の文例

先日はご多用のところ、面接にお越しいただきありがとうございました。
社内にて慎重に検討いたしました結果、誠に残念ながら今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
ご応募いただきましたことに感謝申し上げますとともに、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

メールで送る場合の文例

件名:選考結果のご連絡

〇〇様

このたびは弊社求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また、面接にご参加いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。

慎重に選考いたしました結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。

末筆ながら、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

このくらいで十分です。
あえて年齢に触れる必要はありません。

不採用理由を聞かれたときの答え方

不採用通知そのものには詳しい理由を書かなくても、応募者から理由を聞かれることがあります。
このときは、まず実際の選考が、年齢ではなく仕事に必要な適性・能力などに基づいていたかを確認します。

回答する場合は、実際に用いた業務上の基準の範囲で、簡潔に伝えます。年齢だけで判断していた場合は、表現を「総合判断」に置き換えるのではなく、選考基準と運用自体を見直す必要があります。

返答の考え方

  • 今回の募集で重視していた条件との適合性
  • 他の候補者との比較を含めた総合判断
  • 今回の採用方針との違い

返答例

今回の募集では、業務内容や勤務条件との適合性を含めて総合的に選考いたしました。
その結果、今回は別の方で進める判断となりました。
何卒ご理解いただけますと幸いです。

返答は、実際の選考基準と矛盾しない範囲で簡潔にします。
また、感情的なやり取りになりそうな場合は、文面を短く保ち、議論を広げすぎないことも実務上は重要です。

ハローワーク経由の応募で気をつけたいこと

ハローワーク経由の応募でも、基本的な考え方は同じです。
ハローワークの案内でも、選考結果は必ず本人に直接連絡し、求人票に記載した日数を守るよう求めています。また、不採用理由として性別や年齢を告げられたという求職者の声が紹介されており、配慮が必要なポイントとされています。

そのため、ハローワーク経由の場合は特に、

  • 選考結果の連絡を遅らせない
  • 求人票に書いた条件と実際の判断をずらさない
  • 年齢に触れる表現を避ける

この3点は意識しておきたいところです。

また、求人票の段階でも、厚生労働省は募集・採用における年齢制限は原則禁止としています。例外事由が認められるケースはありますが、限定的です。通常は「年齢にとらわれず、人物本位・能力本位で判断する」前提で運用するのが基本です。

求人票で年齢制限を設ける場合のOK・NG例や表現方法は、「求人票の年齢制限の書き方」で詳しく解説しています。

企業として気をつけたいこと

このテーマでいちばん大事なのは、通知文の書き方だけではありません。
募集段階から、年齢ではなく適性・能力・条件適合で判断する運用にしておくことです。

不採用通知で表現を整えても、実際の選考で年齢を基準にしているように見える運用があると、後で説明がつかなくなります。

企業としては、次の点を確認しておくと安心です。

  • 求人票の条件は具体的か
  • 採用基準が社内で共有されているか
  • 選考理由を言葉で説明できるか
  • 不採用通知の文面が統一されているか

ここが整うと、担当者ごとのばらつきも減ります。

まとめ

シニアの応募者を不採用にするときは、年齢だけを理由に採否を決めることは原則としてできません
不採用通知の表現だけでなく、実際の選考を仕事に必要な適性・能力・条件適合に基づいて行うことが重要です。

不採用通知では、応募への感謝、選考結果、今後の活躍を祈る言葉を中心に、簡潔にまとめるのが基本です。
そのうえで、社内では年齢ではなく、適性・能力・条件適合で判断できるよう、採用基準を整理しておくことが大切です。

採用活動は、試行錯誤しながら進めている会社も多いと思います。今回の内容が、少しでも整理の参考になれば嬉しいです。

FAQ

年齢を理由に不採用にしてもよいですか?

原則として、年齢だけを理由に不採用を決めることはできません。法令で認められた例外事由に該当する募集を除き、適性・能力など仕事に必要な基準で判断します。

不採用通知に理由は書くべきですか?

必ずしも詳しく書く必要はありません。応募への感謝と選考結果を簡潔に伝える形で十分なことが多いです。

シニア応募者への不採用メールで気をつけることは何ですか?

実際の選考を年齢ではなく仕事に必要な基準で行ったうえで、応募への感謝と選考結果を簡潔かつ丁寧に伝えます。

ハローワーク経由の応募でも同じ考え方でよいですか?

基本的には同じです。選考結果は本人へ直接連絡し、法令で認められた例外事由を除いて、年齢だけで採否を決めないようにします。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
求人広告の営業として10年間、中小企業の採用現場を見続けてきました。「採用の問題は、経営の問題」と確信し、中小企業診断士(経営コンサルタント唯一の国家資格)を取得。今は採用戦略・人材育成・経営改善を手がけるコンサルタントとして活動しています。「いい人が来ない」「採っても辞めてしまう」——そんなお悩み、ぜひご相談ください。経済産業省認定経営革新等支援機関 / 中小企業基盤整備機構経営アドバイザー