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男性育休はなぜ進まない?取得率アップだけでは足りない職場の課題と企業の対応策

男性の育休取得率は年々上昇していますが、「取って終わり」では意味がありません。2024年の法改正を機に、育児と仕事の両立を本気で支援する職場づくりが企業には求められています。

採用コンサルタント:大岩

大手企業だけでなく中小企業でも男性の育休取得が現実的になってきましたね。でも、実際には育休をとったものの、復帰後には残業でなかなか育児に参加できないケースも少なくありません。

この記事では、採用コンサルタントの視点から、男性育休の最新動向と、採用力強化につながる実践策を解説します。

男性育休は採用力に直結する|制度より「文化」が問われる時代

男性育休は、今や福利厚生ではなく「採用競争力」の一部です。特に若年層やZ世代は、給与よりも「働きやすさ」や「価値観の一致」を重視する傾向があります。男性の育児参加を歓迎する職場文化があることは、企業選びの大きな判断材料になります。

実際、育休を取得した社員の体験談や復帰後のサポート体制を可視化している企業は、求人への反応も良好です。制度があるだけでなく、実際に使われている・歓迎されているという事実が、企業の信頼感を高めるのです。

つまり、男性育休の整備は「採れる企業」になるための重要な投資といえるでしょう。

育休後に育児できない?男性社員が辞める職場の共通点とは

育休を取得した男性の多くが、復帰後に直面するのが「育児に参加できない職場環境」です。たとえば、金融業界に勤める30代男性は、育休後1カ月で業務が元通りになり、連日の深夜帰宅が続いたといいます。

豊島区の調査でも、出産後の父親の業務+通勤時間が10時間を超えるケースが全体の45%にのぼっています。これでは、子どもの寝顔しか見られない生活になってしまいます。

育休が“特別なイベント”で終わってしまえば、家庭の負担は母親に集中し、職場への不満から退職・転職を考える男性も増えます。

企業側に必要なのは「復帰後の働き方」への配慮。制度より運用、そして職場文化の見直しが急務です。

2025年育児・介護休業法改正で企業が対応すべき3つのポイント

2025年4月から段階的に施行された法改正では、以下のような内容が盛り込まれました:

  1. 残業免除請求の対象期間が拡大(子どもが3歳未満→小学校就学前まで)
  2. 男性の育児参加を支える働き方(テレワーク・時差出勤など)を企業が整備する義務
  3. 10月からは2つ以上の措置(テレワーク、時短、休暇など)を講じることが必須

これにより、企業は単なる「制度の整備」だけではなく、実際に社員が利用できる体制を整える責任を問われることになります。

中小企業でも、業務の可視化とタスク分散を進めれば、十分に対応可能です。むしろ、柔軟な組織体制を持つ中小企業だからこそ、小回りの利く支援策が実現できます。

男性育休を支える制度・事例まとめ

法改正を追い風に、男性育休を活かした新たな取り組みも登場しています。

  • 三井住友海上火災保険:育休取得者の同僚に一時金を支給し、チームで支える文化を醸成。
  • ナリス化粧品:3カ月以上の育休取得者に復職支援手当を支給。育児経験が商品開発(おむつ替えの視点)に活かされた事例も。

こうした取り組みは、制度を活かすだけでなく、社員のモチベーション向上や社内エンゲージメントにもつながっています。

小規模な会社でも、次のような工夫で対応可能です:

  • 担当業務のチーム化
  • 育休中・復帰後の面談フロー整備
  • 定期的な“パパ向け勉強会”の実施

まずは「取りにくい空気をなくす」ことが第一歩です。

採用コンサルタントが教える|男性育休を活かす職場づくり3選

採用支援を行う中で見えてきた、現場で即実践できるポイントは次の3つです。

1. 実績を見える化する

男性育休の取得率や、復帰後の働き方の柔軟性を数値・事例でまとめて、採用サイトや会社説明資料に掲載しましょう。

2. 面接時にメッセージを明確に伝える

「男性も育児に関われる会社です」と、面接の場で言語化することが重要です。社長やマネージャーがその意識を持って伝えることで、信頼が生まれます。

3. 社内制度と運用のギャップを点検する

制度が整っていても、「実際には使いづらい」「取ると評価が下がる」など、運用上の障壁があれば意味がありません。従業員ヒアリングを通じて課題を可視化し、対策を取りましょう。

まとめ|男性育休を“取らせる”だけで満足していませんか?

男性育休は、単に取得率を上げることが目的ではありません。「育児に関われる職場」を本気で実現しなければ、離職防止も採用力強化も望めません。

2024年の法改正は、その実現に向けた大きな後押しです。この機会に、制度の整備だけでなく運用面・文化面を含めた見直しを進めていきましょう。

一人ひとりの社員が「育児と仕事を両立できる」と実感できる職場こそ、これからの採用市場で選ばれる企業の条件です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 男性育休の取得はどれくらいの期間が一般的ですか?

A. 1週間〜1カ月程度が最も多く、3カ月以上取得するケースはまだ少数派ですが、増加傾向にあります。

Q2. 男性育休を取得させると職場の業務に支障が出ませんか?

A. 短期的には一時的な調整が必要ですが、事前に業務をチームで分担する体制を整えることで、業務に大きな支障を出さずに対応できます。

Q3. 中小企業でも育休制度を充実させることは可能ですか?

A. はい。法的義務に沿った最低限の整備に加え、面談やチーム制導入など工夫次第で柔軟な運用が可能です。

Q4. 採用活動で男性育休の実績はアピール材料になりますか?

A. なります。特に若年層や子育て世代にとっては「安心して働ける会社」として好印象を与える要素になります。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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