「社内報=時代遅れ」そんなイメージはもう古いかもしれません。今、社内報はエンゲージメント(働きがい)を高める重要なツールとして再注目されています。特に若手社員の離職を防ぎ、会社への理解と共感を深める役割が期待されており、デジタル化やSNS機能を取り入れた「次世代型社内報」が続々と登場しています。
今や情報発信は当たり前の時代です。社内報においても紙からWEBへ移行しており、社員のエンゲージメント向上に活かしている企業も現れてきました。
この記事では、社内報の定義や目的に加え、最新事例を交えながら、採用や定着にも効果を発揮する社内報の活用法をやさしく解説します。
社内報とは?基本的な役割と目的を解説

結論から言えば、社内報とは「社内向けのコミュニケーション媒体」です。昔は紙で発行されることが多かったですが、今では多くの企業がウェブ版を導入しています。
社内報の主な目的は以下の3点です:
- 経営方針や事業戦略を全社員に伝える
- 他部署や仲間の働き方・考え方を知る
- 社員間のエンゲージメント(共感や一体感)を高める
単なる情報発信ではなく、会社と社員の間、社員同士の信頼関係を築く役割を担っています。
社内報がエンゲージメントに与える影響とは

社員の働きがいやモチベーションを可視化する「エンゲージメントスコア」。多くの企業が導入を進めていますが、スコアを上げるには情報共有だけでは足りません。重要なのは「会社の温度感」が伝わること。
その点で、社内報は大きな効果を発揮します。
特に若手社員は「会社の雰囲気」を重視します。形式的な業務報告よりも、「同じ会社で働く仲間がどう考えているか」「プライベートはどう過ごしているか」といった、人間味ある情報が心に残ります。
30%を超えると成功とされる社内報の閲覧率ですが、効果的な設計によって50%近くまで伸ばす企業も出てきました。
次の章ではその具体例をご紹介します。
【事例紹介】大阪ガスが取り組む次世代型社内報「がす燈」

大阪ガスは、従業員エンゲージメントの向上を目的に、2024年夏に社内報「がす燈」を全面リニューアルしました。
特徴的なのは、SNS風の「GASスタグラム」機能。従業員が自由に写真や文章を投稿でき、生活や育児、仕事のこだわりなど、社員の”B面”に焦点を当てたコンテンツが好評です。
他にも、
- ハッシュタグ検索
- アクセスランキング
- お気に入り登録機能 などを導入し、従業員の利用を促進。
その結果、月1回以上の閲覧者が全体の45.5%に達し、3割の壁を大きく超える成果を上げました。
社内報が採用・定着に寄与する理由

採用活動において、社内報は応募者に「会社のリアル」を伝える材料としても活用できます。特に中小企業では、採用広報で差別化を図ることが難しいですが、社内報で働く人の姿を見せることで共感を呼びます。
また、入社後のミスマッチを防ぐうえでも有効です。配属後の社員が「想像と違った」と感じる理由の多くは、情報不足やイメージの齟齬にあります。社内報で職場の雰囲気や先輩社員の声を継続的に伝えることで、入社後の不安を軽減できます。
IT活用による社内報の進化と人材定着施策

物流業界では、スタメンと船井総研ロジが共同開発した「TUNAGロジ」が注目されています。
このツールは、
- ヒヤリハット事例の共有
- 日々の働き方の可視化
- SNS形式の社内掲示板 などの機能を備え、社員の教育・交流・評価に役立てられます。
特に、普段見えにくいドライバーの勤務状況をアプリで可視化できる点は大きなメリット。これにより適切な人事制度の設計や、モチベーション維持につながります。
採用コンサルタントの視点:中小企業が今こそ取り組むべき理由

私自身、これまでに多くの中小企業を支援してきました。その中で感じるのは、「情報発信に消極的な会社ほど人が定着しづらい」ということです。
社員の頑張りや、日常のちょっとしたドラマを社内報で発信することは、それ自体がエンゲージメント施策になります。さらに、その社内報を採用広報の一環としても活用できれば、採用と定着の両方に効果を発揮します。
紙1枚の通信からでも始められる。小さな一歩が、大きな変化を生むことを多くの企業で見てきました。
よくある質問(FAQ)
Q1:社内報って紙じゃないとダメですか?
A:いいえ、現在ではウェブ版の社内報が主流です。スマートフォンやタブレットに対応させることで、若手社員を中心に閲覧のハードルが下がり、日常的にアクセスされやすくなります。また、検索機能やランキング、コメント機能などを備えることで双方向のコミュニケーションが生まれやすくなり、紙媒体では得られなかった効果が期待できます。
Q2:予算が少ない中小企業でも取り組めますか?
A:もちろん可能です。たとえば無料の社内ブログツールや、グループチャットアプリ内で「情報共有チャンネル」を設けるだけでも立派な社内報の代替になります。最初は月1回、社員の活躍や社内イベントの様子を共有するところから始めて、徐々に情報発信の幅を広げていく方法も有効です。大切なのは“続けること”です。
Q3:何を書けば社員が読んでくれますか?
A:業務連絡や経営方針などの堅い情報だけでなく、「人」に焦点を当てた記事がよく読まれます。たとえば、部署紹介、社員の一日密着レポート、子育てと仕事の両立エピソード、趣味や休日の過ごし方などが人気です。実際に大阪ガスでは、社員の”B面”を紹介する記事が高い閲覧率を誇っています。
Q4:どうすれば閲覧率を上げられますか?
A:閲覧率を上げるには、いくつかの工夫が効果的です。例えば、投稿者を巻き込む仕組みをつくり、従業員自身が発信者になるようにすると「自分ごと化」が進みます。また、通知機能で更新を知らせたり、人気記事ランキングや「いいね」機能を設けることで、つい見たくなる設計が可能です。さらに、写真や動画を交えてビジュアルを重視すると、視認性も高まり自然と閲覧数も増えます。
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