人手不足が深刻化するなか、企業現場での汎用ロボットの導入が加速しています。製造業だけでなく、サービス業や物流現場など、幅広い業種で活用が進み、その可能性は単なる業務効率化にとどまりません。従業員の負担軽減や、働きやすい職場づくり、さらには採用広報やマーケティングへの応用も視野に入っています。
AIやロボットの活用は日々進化していますね!今、人がやっている仕事もどんどん自動化されていくことでしょう。
本記事では、実際に汎用ロボットを導入している福井県のメガネメーカー「シャルマン」の事例をもとに、ロボット活用のメリットと課題、そして採用戦略への示唆について、採用コンサルタントの視点から解説していきます。
汎用ロボットとは?注目される理由を解説

まず「汎用ロボット」とは、特定の作業に特化した専用機械とは異なり、ある程度幅広い作業に対応できるロボットのことを指します。最近では、レストランで料理を運んだり、清掃業務を担ったりする姿を見かける機会も増えてきました。
注目されている理由は大きく3つです。
- 導入コストが比較的安価:専用ロボットに比べて調達しやすく、初期投資のハードルが低い
- 設定変更が簡単:現場のレイアウト変更や工程の見直しにも柔軟に対応可能
- 業種横断的に利用できる:製造業からサービス業まで、多様な業務にフィット
こうした特徴が評価され、今や人手不足への対処だけでなく、現場の業務改善ツールとしても脚光を浴びています。
シャルマンの事例に学ぶ|ロボット導入の目的と効果

福井県鯖江市に本社を構える高級メガネフレームメーカー・シャルマンでは、2024年から猫型の汎用ロボットを工場に導入し始めました。製造工程のうち「検品工程」で運搬業務を自動化する目的です。
メガネフレームの製造には250もの工程があり、完成品を検品担当者が回収し、次の工程まで運ぶという手間のかかる業務が存在していました。これを汎用ロボットに置き換えたことで、検品担当者の負担が軽減し、全体の作業効率が向上。
特に、タブレットで簡単に経路変更できる点が強みで、多品種少量生産でレイアウトが頻繁に変わる同社の現場にマッチした選択だったのです。
人手不足への処方箋としてのロボット活用

地方の製造業では、今後も人材確保が厳しさを増すと予測されています。そうした中で、ロボットに任せられる業務を見極め、人的資源をコア業務に集中させる考え方は、非常に重要です。
シャルマンのように、検品や運搬など単純作業から自動化を進めることで、限られた人材をより付加価値の高い業務へとシフトさせることが可能になります。
ロボット導入で変わる職場環境とエンゲージメント

シャルマンでは、ロボットが走行中に流す音楽を、従業員のリクエストで選曲できる仕組みを導入。ちょっとした仕掛けですが、これが社員とのコミュニケーションづくりや職場の雰囲気向上に一役買っています。
将来的には、音声案内やディスプレイを使って、より双方向のコミュニケーションを図る構想もあります。ロボットの活用が、働きやすさやエンゲージメントの向上にもつながる事例といえるでしょう。
採用担当が知っておくべき、ロボット活用の落とし穴と対策

一方で、導入時には注意すべき点もあります。
- 工場内の防火扉や段差など、ロボットが通れない箇所の存在
- エレベーター使用時の安全性確保
- ソフトウェアのメンテナンスや更新対応
これらの課題に対しては、事前の現場調査と、社内での運用体制整備がカギを握ります。導入して終わりではなく、「運用し続ける力」が企業に求められる時代です。
採用戦略への示唆|「ロボットで補える仕事」を見極める力

採用難の中で、すべての業務を人の手でまかなうのは限界があります。だからこそ、業務を細分化し、「ロボットで置き換えられる部分」と「人がやるべき部分」を明確にすることが重要です。
こうした取り組みを通じて、
- 応募者に「働きやすい職場」だと伝えられる
- オペレーションが整理され、離職リスクが低下
- 採用PRとしても訴求できる
など、さまざまなメリットが得られます。
今後の展望|ロボット×マーケティングの可能性
汎用ロボットは、人手不足対策にとどまりません。将来的にはネットワークで複数台を連携させ、広告配信や販促ツールとしての活用も検討されています。
例えば、ロボットに搭載されたディスプレイに求人情報や社内イベントを表示したり、採用説明会での案内役に使ったりと、広報・マーケティング分野への応用も十分可能です。
「作業員」としてだけでなく、「情報発信ツール」としてのポテンシャルも持つ汎用ロボット。経営や採用の視点から見ても、その存在感はますます大きくなっていくでしょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 汎用ロボットは中小企業でも導入できますか?
A. はい。特に最近は低価格なモデルも多く、補助金を活用することで初期負担を抑えて導入する企業が増えています。
Q. ロボット導入で社員の雇用は減らないですか?
A. 単純作業をロボットに任せることで、人手をより付加価値の高い業務に配置できるため、むしろ人的資源の有効活用につながります。
Q. 現場スタッフがロボットの操作を覚えられるか心配です。
A. タブレット操作が中心で、難しいプログラミングは不要な機種が多く、現場スタッフでも扱いやすい設計になっています。
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