募集・広報

建設業の求人に応募が来ない理由と、今すぐできる5つの改善策

建設業界では「求人を出しても応募が来ない」という声をよく耳にします。これは決して珍しいことではなく、多くの企業が直面している課題です。しかし、原因を理解し、対策を講じることで、状況を改善することは十分に可能です。

採用コンサルタント:大岩

大学進学者が増え、現場作業に目を向ける若者が少なくなっています。ホワイトカラーはこれからどんどんAIに代替され、人が担う仕事は少なくなっていくでしょう。その流れは建設業や製造業にとって明るい話かもしれませんね!

本記事では、建設業の求人に応募が来ない理由と、私が現場で感じた実体験を交えた解決策をお伝えします。今すぐ取り組める内容ばかりなので、ぜひ参考にしてください。

なぜ建設業の求人に応募が来ないのか?

まず、建設業の求人が集まりにくい理由を整理します。業界全体に共通する問題と、個々の企業の取り組みによる違いが原因となっています。

主な原因

  • 「きつい・危険・汚い(3K)」のイメージが根強い
  • 他業種に比べ、賃金や福利厚生が見劣りする
  • 将来のキャリアパスが見えにくく、不安を感じやすい
  • 求人情報が簡素で魅力が伝わっていない
  • 広告やPR活動が十分に行われていない
  • 求人倍率が高く、求職者の取り合いになっている

たとえば、求人票に「未経験歓迎」「すぐ働けます」としか書いていないと、求職者には他社との差が見えません。そのため、応募が集まりにくくなるのです。

求人倍率の現状

特に建設業は、他業種と比べても有効求人倍率が非常に高い状況が続いています。例えば、2023年時点の厚生労働省の統計によると、全産業の平均有効求人倍率が約1.3倍であるのに対し、建設業は約4.9倍となっています。これは、1人の求職者に対して約5社の求人が存在する計算になり、まさに求職者の取り合いになっている状態です。

このような環境では、単に求人を出すだけでは効果が薄く、自社の魅力をしっかりと伝え、他社と差別化することがますます重要になっています。

建設業の採用支援をして感じる「応募が来る会社」と「来ない会社」の違い

私はこれまで建設業の採用支援を多数行ってきました。その経験から言えるのは、「採用には広報力が不可欠」ということです。しかし、広報が得意な人がいないのが、多くの建設会社の実情でもあります。

応募が来る会社の特徴

  • リファラル(紹介)採用をうまく活用している
  • 社内外での「コミュニティづくり」をしている
  • SNSを活用し、日常的に会社の情報発信をしている

以下に、実際の事例を紹介します。

事例1:リファラル採用が基本

多くの企業では、社員や協力会社からの紹介が採用の中心になっています。紹介は信頼が前提となるため、応募に対する安心感があります。ただし、紹介が途切れると採用活動が停滞するため、新たな採用チャネルの構築が課題になります。

事例2:草野球チームを活用した採用

ある企業では、自社で草野球チームを結成し、社員の友人や知人を呼び込む活動を行っています。野球を通じた交流の場が、自然な形で採用のきっかけとなり、実際にチームメンバーの中から複数人の採用に成功しています。

事例3:社長自らSNSで情報発信

別の会社では、社長が自らSNS(Instagram・TikTokなど)で現場の様子や社員の働く姿を発信しています。その結果、若手求職者からの応募が増え、20代・30代の社員が中心の職場になりました。社長の情報発信は「親近感」と「安心感」を生み出し、応募者に良い印象を与えています。

広報力の必要性

採用は「広報活動」の一環です。しかし、多くの建設会社では「採用担当者」がいない、もしくは兼任で行っているため、広報が後回しになりがちです。会社の未来を左右する採用こそ、積極的な情報発信と広報戦略が必要だと実感しています。

応募が来ない状況を打破する!建設業の求人を改善する5つのポイント

応募を集めるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。以下に、私がおすすめする5つの改善策を紹介します。

1. 給与・福利厚生の見直し

給与や福利厚生は、求職者が最初にチェックする項目です。他業界と比較しても遜色ない条件を整えることが重要です。

  • 賃金は最低賃金よりも大幅に上げる(同業他社より高水準を目指す)
  • 社会保険や退職金制度を整備する
  • 家賃補助や資格取得支援を導入し、生活をサポートする

2. キャリアパスとスキルアップの道筋を明確にする

「この会社で働き続けたらどうなるのか?」を示すことが、応募者の安心感に繋がります。

  • 昇進例やキャリアアップの道筋を具体的に提示する
  • 資格取得支援とキャリア形成をセットで説明する
  • 実際に活躍している社員のインタビューを掲載する

3. 求人情報は「具体的に」「わかりやすく」「魅力的に」

求人票や採用ページは、会社の顔とも言えます。抽象的な表現は避け、具体性を持たせましょう。

  • 仕事内容は「型枠大工」など職種名だけでなく、1日の仕事の流れを記載する
  • 現場の写真や動画を掲載し、職場の雰囲気を伝える
  • 社長や社員のコメントを入れ、働く人の生の声を届ける

4. 求人媒体と広報戦略を見直す

応募が集まる求人は、「見つけてもらう工夫」がされています。

  • 大手求人サイト、地域密着型求人サイト、ハローワークを併用する
  • 自社ホームページに採用ページを設け、SEO対策を行う
  • InstagramやTikTokで社内の様子を日常的に発信する

5. 若手世代が「共感」する会社作り

若い世代は、条件面だけでなく、「共感」を重視します。

  • 働きやすい環境を整える(休暇の取りやすさ、風通しの良い社風)
  • 仕事の意義や地域貢献を打ち出し、やりがいを感じられるようにする
  • 定期的な社員アンケートやミーティングで意見を吸い上げ、職場改善を進める

まとめ|小さな改善が「応募ゼロ」から「応募が来る」会社への第一歩

建設業の求人に応募が来ない理由は明確であり、対策も存在します。給与や福利厚生の見直し、キャリアパスの明確化、求人情報の充実、広報戦略の強化、そして若手が共感できる会社づくり。これらを一つずつ実行することが、応募者を増やす第一歩となります。

まずは、自社で取り組めることから始めましょう。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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