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基本給とは?求人票で誤解を招かない給与表示のコツ

求人票を作成する時、「基本給」をどのように表示するかは、多くの企業で迷われるポイントではないでしょうか。給与表示について正確に理解し、求職者に誠実な情報を掲示することは、入社後の不安やトラブルを防ぐためにも気をつけておくべき点です。

採用コンサルタント:大岩

求人募集をする際にできるだけ給与を高く見せたい!みなさん考えることは一緒ではないでしょうか?書き方で損はしたくないですよね。

この記事では、基本給の意味と、求人票を作成する際に知っておきたい給与表示のコツを解説します。

基本給とは?まず押さえておきたい定義

基本給とは、何も加算されていない「基本的な労働の対価」を指します。これは社会通念的にも伝わる言葉ですが、社内ではより明確に定義しておくことが重要です。

同じ職務に専属していれば、誰でも一定の額を受けることになるのが基本給の特徴です。この基本給をもとに、別の条件で支給される各種手当が上下します。

例えば、日雇い系の業種でも、基本給は「1日あたり一定額の労働賃金」として求職者に伝わります。月給制の場合は、月ごとに指定された額面を基本として、これに各種手当が追加されるスタイルになります。

また、基本給は「水準給与」の基礎となり、残業代、賞与、退職金等の計算にも直結する重要な概念です。

不定の条件で支給される各種手当(残業手当やインセンティブ等)は基本給に含まれず、分けて表示する必要があります。これを基準に正確に給与を書き出すことが、求職者との誤解を防ぐポイントです。

次に、求人票でよくある「基本給」表示の間違いについて見ていきましょう。

求人票でよくある「基本給」の誤表示とは?

求人票における給与表示の誤りは、受け取る人に不信感を与える原因となります。 よくあるのが、残業手当やインセンティブ等を基本給に含めて表示してしまうケースです。たとえば、「基本給25万円(残業代含む)」といった記載は誤りです。このような表示は、求職者に誤解を与え、実際に支給される金額との差異からトラブルに発展する恐れがあります。

また、求人票に「基本給25万円〜45万円(実績により異なる)」などと記載するのも避けるべきです。基本給は、実績や成果によって変動するものではなく、職務に応じて固定された金額であるべきです。この場合は「基本給25万円、インセンティブ制度あり」と明確に分けて記載する必要があります。

このような誤表示は、労働基準法の厳格な実務にも反する可能性があり、最悪の場合、行政指導や是正勧告の対象となる場合もあります。

基本給に含めて良い手当・含めてはいけない手当

求人票で「基本給+手当」と書く場合は、なんでも基本給に含めるのではなく、意識的な分別が必要です。

基本給に含めて良い手当とは、すべての従業員に対して一律に支給される性質のものであり、業務内容や役割に応じて定められることが多いです。たとえば、職能手当はその職務に必要なスキルや資格に基づき支給され、地域手当は勤務地によって生活コストを補うために定額で支給されます。役職手当も全員が特定の役職に就いている場合には一律支給されるため、基本給に含めることが可能です。

一方、基本給に含めてはいけない手当は、支給の有無が個人の勤務状況や成果によって異なるものです。たとえば、残業手当は実際の労働時間に基づいて支払われるものであり、基本給に含めることはできません。皆勤手当も、出勤状況により支給が変動するため、同様です。インセンティブや深夜手当も、特定の条件を満たした場合にのみ支給されるため、これらは必ず別途記載する必要があります。

この区別を明確にすることで、求職者にとっての安心感を高め、企業側も法的リスクを回避することができます。

基本給に含めて良い手当

  • 職能手当
  • 地域手当
  • 役職手当(全員一定の場合)

基本給に含めてはいけない手当

  • 残業手当
  • 皆勤手当
  • インセンティブ
  • 深夜手当

判断に迷う場合は、「この手当は全員に支給されているか?」で検討すると良いでしょう。

次は、実際の求人票にどのように記述すればよいかを解説します。

求人票の正しい給与表示例

正しい給与表示をするためには、事前に例を参考にするのが有効です。求職者が安心して応募できるようにするには、情報の明確さと具体性が求められます。特に、どの項目が固定で支給されるのか、どの項目が条件付きで変動するのかを、求人票内でしっかりと区別することが大切です。

また、給与構成についても「基本給」「手当」「賞与」「インセンティブ」などをそれぞれ分けて記載することで、入社後の給与に対する期待値のズレを防ぐことができます。

たとえば、「月給25万円」とだけ記載するのではなく、「基本給◯◯円、手当◯◯円、その他の支給条件」と分けて示すことで、求職者がより正確に給与の内容を理解できるようになります。これにより、採用後のミスマッチやトラブルを防ぎ、双方にとって納得感のある雇用契約が結ばれるでしょう。

最後に、なぜこれほど基本給の正確な表示が重要なのかをまとめます。

基本給を正確に記載する理由

基本給を正しく記載することは、企業にとって以下の3つの観点で非常に重要です。

  • 社会的信用の維持
    給与情報は求職者にとって最も注目される情報の一つです。不明確な記載は企業の信頼性に疑問を抱かせ、応募をためらう原因になります。
  • トラブル防止
    「思っていたより手取りが少ない」といった不満は、早期退職や労使間のトラブルを引き起こします。明確な記載により、ミスマッチを防ぎ、安定した雇用関係の構築につながります。
  • 法令遵守
    求人票には労働基準法や職業安定法に基づき、正確な情報を記載する義務があります。虚偽や誇大な表示は法的リスクを招く恐れがあります。

特に基本給は「労働の対価」の根幹を成す重要項目です。ここが不明確であれば、入社後のトラブルや早期離職に直結します。優秀な人材を安定して確保したいと考えるなら、給与表示は誠実かつ明確でなければなりません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 基本給は毎年見直す必要がありますか?

A. 基本給の見直しは法的義務ではありませんが、物価や市場動向、従業員のモチベーションを考慮し、定期的に検討することが望ましいです。

Q2. インセンティブ制度がある場合、どのように求人票に記載すれば良いですか?

A. 「基本給◯◯円、インセンティブ制度あり」と明確に分けて記載しましょう。インセンティブの支給条件もできるだけ具体的に示すと良いです。

Q3. 基本給に交通費は含められますか?

A. 交通費は基本給には含めず、別途「交通費支給(上限あり)」などと記載するのが一般的です。

Q4. 手当を減額したい場合、従業員に説明する必要はありますか?

A. はい。手当の減額は労働条件の変更にあたるため、従業員への十分な説明と同意が必要です。

Q5. 求人票に「年収◯◯万円」と記載するのは問題ないですか?

A. 年収表記自体は問題ありませんが、その内訳(基本給・手当・賞与等)を具体的に示すことが重要です。

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ABOUT ME
採用人事コンサルタント 大岩貴文
大手メディアの求人広告営業を10年経験した後、経営コンサルタント唯一の国家資格である中小企業診断士の資格を取得。採用人事に強いコンサルタントとして、採用支援、研修講師、経営改善などを中心に活動中。経済産業省認定経営革新等支援機関、福岡県商工会連合会エキスパートバンク登録専門家。

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